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Qualia & Company INDIGO MonoBlock Phono Amplifierの私的インプレッション:進化した恐竜

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「時計の針は戻らない。 だが、自らの手で進めることはできる。」
碇ゲンドウ


Introduction

そこからは、
この莫大なTOKYOというメトロポリスの全てが見渡せるような気がした。

いや、もっと高く、見晴しよい場所も東京の中にはいくらもあるはずなのだが、その部屋にセッティングされた機材の放つ気配は、そういう目移りを許さないほどに、この部屋の雰囲気を特別なものとしていた。ここがオーディオ世界のおいて最も天に近い場所であるかのような自信に満ちた空気が漂っていたのである。出番を静かに待つアンプたちには、未踏の音への予感が滲んでいた。音が出ていなくてもそうであったくらいである。ひとたび音出しをすれば、排他的とも言えるほどに豪華なサウンドで、24階のガラス張りの部屋は溢れ返った。
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異様なほどの精鋭感を漂わせる筐体を纏うアンプ群やヘッドホン出力を装備するDACで私に期待を抱かせてきたQualia&Companyの遅すぎた日本デビューである。それは、その目指す高みに相応しい場所が選ばれた。彼らはPeninsula Tokyoの24階を指定した。その部屋の音響的な特性の良し悪しはさておき、下界で行われているインターナショナルオーディオショウ(IAS)が小さく見えるという意味では、画一化され、陳腐化した現代のオーディオを脱却し、究極の高みを目指すQualia&Companyの先鋭の姿勢に似つかわしく思われた。
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このデビューイベントのパブリックな告知は当日の二日ほど前であった。随分と急であり、イベント自体も午前中から夕方までたった半日という短さであった。本来は招待客のみのプライベートなイベントだったのかもしれない。そんなこともあり、日本製でありながら、日本での知名度が高くないQualia&Companyのお披露目に足を運んだ人々は多くはなかったようだ。IASの中日というのも微妙なタイミングか。IASはいつも初日に人出が最高になり、あとはダラ下がりなのである。

日程の取り方も告知内容も十分とは言えないけれど、諸々の事情で日本の販売店でのデモの機会が限られるやもしれぬQualia&Companyの機材を聞ける数少ないチャンスである。その日の仕事をキャンセルして私はPeninsulaへ出掛けた。

専用の直通エレベーターを出て薄暗いエントランスで要件を述べると、ガラス張りの広間へと案内された。見回してみると、まだまだ空席がある。有名な評論家の方が講演されていても席の埋まり方は7割ほどであった。これはオーディオショウの込み方として理想ではないか。重いドアを力を込めて開けて、中に入ってみても評論家講演となれば寿司詰めの立ち見、音は勿論、機材の外見もなにも分からないIASよりよほど良い。座って聞いているとホテルの方がドリンクをサーブしてくれるし、うしろには軽めのスナックがズラリと並んでいた。こういうサービス、製品の価格に見合う乙なサービスもIASでは思い出にない。実は国際フォーラムの部屋では飲食禁止なのだろうか?いい音が出ていれば、それでいいと言い切れるほど、オーディオは単純な趣味ではない。その場の雰囲気は大事にしたいものだ。

確かに参加人数はそれほどでなかったが、多くの観客の方々のオーディオへの入れ込み様と財力の大きさは、なんとなく見て取れた。会場に微かに漂う香水の種類、靴のブランド、メガネのデザイン、服装の仕立てや生地の質は様々であって、老若男女が音楽に耳を傾けていたけれど、大多数にハイエンドオーディオ機器を躊躇なく即金で買ってしまいそうな金銭的なゆとりが感じられた。また、楽音の変化やリズムに反応する表情の変化からは、オーディオに対する熱情も感じた。幅広い年収層、冷やかし半分の若者グループから私のような窓際プアオーディオ実践者、ベテランのスーパーマニアまで色々と来ているようなIASよりは、客層が絞られていたかもしれない。告知の小ささは、結局は客をえり分ける効果があったのだろう。

この会での私の目当てはESSのチップを採った380万円のDAC with USBとモノラル構成のフォノイコライザーINDIGO MonoBlock Phono Amplifierの二つであったが、ここで私が述べるのはINDIGO MonoBlock Phono Amplifierについてのみである。以前に少し言及した覚えもある例のDAC with USBについてはあえて書かない。その理由はご想像にお任せする。
(写真はAVcat様、メーカー様のHPから拝借しました。)


Exterior and feeling

さて、INDIGO MonoBlock Phono Amplifierを前にして私は先ず何をしたか。まず、このオーバーな筐体とその大規模な構成に呆れ返ったのである。遥かにコンパクトで、もっとスマートな機材が幅を利かせている時代に、あえてこういう大掛かりなオーディオマシーンで勝負しようという心意気は買いたいが、個人的にはさしあたり置き場所に困るかもしれないと思った。そして次には、その外観の美しさに感服したものである。この銀色に光る筐体の巧妙な面取りや冷たくも細やかな手触りに五感が絡め捕られてゆくのを感じた。これは素直に美しいとしか言えない3つの箱である。

このフォノイコライザーは左右別の筐体に格納された回路部と電源部から成る3筐体構成を取る。これほど大規模なコンストラクションは久々に見たような気がする。過去にはこのようなオーディオ浪漫を追いかけた機材をしばしば見かけたものだが、そういうものを造ろうという機運はハイエンドオーディオのステージから徐々に姿を消しつつあるように思う。i phoneのようにミニマルなデザインと大きさだが、極めて多機能で便利、かつ音のクォリティの高い製品、例えばDevialetのアンプなんかと比べると、これはまるで恐竜のように大きく、かさ張って重たいものだ。
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回路を天板から釣り下げる二つの筐体は、大部分が一つの大きなアルミインゴットから削り出されており、これは鉄製の底板とリアパネル、そして本体の3ピース構造である。アンバランスの信号伝送を基本とする回路は求める音質を得るためプリアンプと同様に立体的に配線されており、二階建ての構造を取っているようだ。これらの回路は複雑な形に刳り貫かれたアルミの塊の中にまるで嵌め込まれるようにマウントされている。電源部はアルミ塊からの刳り貫き構造ではなく、Chikumaのタップのようにアルミの板を高精度に組み付けて作られた箱であり、こちらは回路部よりもわずかに小さい。中には5基ものトランスが鎮座しており、かなり贅沢な電源仕様となっている。3つの筐体の足は重量のある金属のスパイクによる4つ足であることは共通している。この足は比較的大きくボリュウムもあり、しっかりとした設置を約束するように見える。さらに、これらの筐体は金属製の蛇腹のホースのような専用ケーブルで連結され機能する。このケーブルはコネクターのシェルも特製らしく、音質に十分に配慮した作りであり、シールド効果、防振効果が高そうに見えるが、他のメーカーでは類するものを見たことが無い。

フロントパネルには星座のような形があしらわれたプレートがあり、電源を入れると青く光るようになっている。プレートの両脇には波のような装飾的な面取りがあり、それがサイドパネルへと続いてゆくのだが、このコーナーのデザインのシャープさ、なかなか忘れがたい。この製品全体のイメージ、いやもしかするとこのブランドのイメージを決定している、金属の量感と質感は、大袈裟でなく、むせかえるほどのものがある。日本刀の表面に見られる青みがかった銀色、全然透明ではないのに何故か透明感を感じる金属の肌合いが、INDIGO MonoBlock Phono Amplifier全体を覆い尽くしている。この機材の表面全体が発する金属的なオーラは、システムの周囲に強烈に放射され、見る者を圧倒する。そのオーラは筐体の持つ予想以上の厚み、重みにより裏付けされて、ますます確固たるものと感じられる。
フォノイコライザーのみならず、プリアンプ、パワーアンプ、DAC全てが同様のデザイン、質感であり、これらが揃い踏みした時の冷たい威圧感は、部屋の空気を一変させるに足る。
外観だけを見ても、本当の所有感をオーナーに与えられる機材は、特に日本製では少なくなったようだが、どっこい生きていたらしい。

この外観全体の印象や内部構造はLyraが出していたフォノイコライザーアンプや、スキャンテックが扱っていたConnoiseurのアンプを想い起させる。これらの過去の機材とQualia&Companyは無関係ではないのだろう。こうして、どこか見覚えのある筐体のデザインや回路の姿を眺めていると、決して大きな熱ではないにしろ、いつまでも消えることなく燃え続けるオーディオへの執念と情熱の火照りを感じるのは偶然ではあるまい。飽きず懲りず、連綿と続くハイエンドオーディオの一系譜に結ばれた結節点が、このINDIGO MonoBlock Phono Amplifierなのだろう。


The sound 

無理解と馴れ合いを拒絶した壮大なサウンドを聴かせるフォノである。
その構成や価格から考えて、究極的あるいは絶対的な音質上のアドバンテージを目指したものであろうが、その目論見はこのフォノに関しては成功していると言わざるを得ない。

まずはサウンドのスケールが圧倒的である。これほど広々と深々と鳴るアナログサウンドは知らなかった。音は全く薄まらないまま、どこまでも広がってゆくようだ。いままでのアナログオーディオにはなんらかのリミッターがかかっていたのではと思わせるほど音の拡散範囲が大きい。サウンドステージという言葉はステージには必ず両脇に袖があるわけだから、これほどの拡がりを表現するのに似つかわしくないように思う。これは音の地平線のようなもの、サウンドホライズンとでも表現するのだろうか。とにかく今回は音の視界が切れる場所がないようなアナログ再生が出来ていた。これは左右の回路を格納する筐体を二つに分け、それら自体をこの上なく強固かつシールド性の高いものとして、分離電源も左右に分けた結果だろう。もちろんプレーヤーやカートリッジのチャンネルセパレーションや、録音の良さも考慮しなくてはならないはずだが、様々なアナログ機材の出音を聞いた経験からは、有り得ないほど左右のチャンネルのセパレーションが良くなっているように聞こえた。この部分は従来からのアナログオーディオの最大の弱点であったのだが、見事に克服されているようだ。ここに明らかなアナログオーディオの進化の跡が垣間見えた。

こうして音の広がり具合は大変に良いのと同時に、実体感の豊富な音がズンと前に出てくるのも特徴である。一般にはサウンドステージが大きく開けると、音は奥に引っ込まないまでも、ある一線を越えて前には出なくなることが多い。また音の感触はホログラフィックでやや薄まった印象となりやすい。だがINDIGO MonoBlock Phono Amplifierでは全くその逆の展開となる。時に強烈とも言えそうなパンチのあるベースの弾け具合や、深みのある妖艶さをたたえた女声が、その音場の広さにも関わらずカラフルかつビビッドに脳裏に映る。音の強弱、明暗、冷熱のコントラストも明確。薄っぺらさとは無縁の揺るぎない音像が正確に定位し、安心して聞いていられる音である。これらの要素はアナログらしい滑らかな音の流れと相まって、聞いたことない不思議な音世界を現出させる。

音のスピード感はかなり速い。鋭く立ち上がり、たちまち消え去る音で、必要以上に尾を引くような呑気な挙動は見せない。音の細部にわたる描写にも隙はない。いわゆる音の視覚的な“解像度”は十二分に高く感じる。細かな気配成分もはっきりと聞かせ、豪勢な、と言いたくなるほどに情報量が多い。むしろ、なにもかもはっきりしすぎて、デリカシーがないようなところさえある。ただ、この明快な細密描写は、Perseusの例のように、SNが従来よりも遥かに上がったために実現したとは思えない。これはどんな些細な一音一音にさえ無視し難い重み、力が与えられたために起こる現象ではないかと思わせる。つまりノイズ特性では手元のPerseusやSoulutionのフォノには一歩及ばないように思えるし、逆に言えば末梢までパンパンに詰め込まれたような音の緊満感が素晴らしいとも思えるのである。

もちろん、アナログ特有の単純な構造から来ると思われる、鮮度の高い音がダイレクトに鼓膜を震わせる快感、音の活性感が生きた音でもある。ハイエンドアナログでは、高性能を求めるあまり、アナログの美点をかえって失う例もあるのだが、このようなアナログに対する愛情を履き違えていないサウンドを聴くと、設計者の深い見識に感心させられる。やりすぎてダメになることを巧妙に避けているように聞こえるのだ。これは、デジタルソースがある音楽であっても、あえてLPを買ってターンテーブルを回すことの意味を痛感できるサウンドになっていると思う。

このシステムの帯域ごとの印象を一口に言えば、緩みのまるでない低域の見事な制動力、デリカシーにやや欠けるが動かしがたい存在感を主張する中域、時々鋭く空間を切り裂くような派手さを隠す強い高域ということになろうか。また、音の透明感はノイズの多寡に関係なくかなり高度なものであり、この透明感により音の濃厚さがドロッとしたアクの強さへとつながって行かないところが特徴的であるし、好感の持てるところである。また温度感の点では、こういう純粋なオーディオへの情熱から盛り沢山な内容になった機材にありがちな熱い音ではなく、ややクールあるいはニュートラルな人肌の暖かさと聞けた。
ただ、音の硬さが気になることはあった。音のアタックがしばしばハードに感じられ、フワリと来る音が少ない。これはエージングで解決するのか、それとも強固な筐体構造によるところなのか。

これは音を探るにつれて様々な側面が明るみになる機材である。視点を変えれば変えただけ、特筆すべき新たな音の特徴が見られるフォノで、本当に盛り沢山な音、豪華な音である。比較的シンプルな聞き味の製品が多いフォノというジャンル中で、このサウンドは独自の方向性を示しており、スケール感などの点では明らかに先進的でもある。この試聴では、多くの音の要素が目まぐるしく乱舞しつつ現れては消え、実体感のある音楽を形成・提示し、私を打ちのめした。確かに、価格を無視したとしても、この内容の豊富さと強さは格別であり、誰にでも付き合える音ではない。強烈なオーディオを求める固い意思がオーナーには必要かもしれない。馴れ合いでは付き合えない音だし、このサウンドを理解しなければ、ただ疲れる音だと感じる方もおられるかもしれない。結局、そこのところはオーディオにおける心地良い疲労を愛せるか愛せないかという分岐点になるのだろう。

所有するConstellation audioのPerseusと単純に比較するのは価格的にどうだろう。なにせ250万円の高低差がある。しかし、意外や、音質については(手前味噌かもしれないが)音の力強さやスケールの大きさ以外ではPerseusは一歩も引いていないように思われた。特に音の質感表現については基本的な柔軟さや感触の多彩さ、洗練を極めたデリカシーのある音の表現の絶妙さなどの点で明らかにPerseusの方に分があると思われたし、ノイズの低さについても一定のアドバンテージを感じた。今回の試聴でも改めてPerseusの高次元でのコストパフォーマンスの良さが証明されたことになる。なおINDIGO MonoBlock Phono AmplifierはMCカートリッジ専用であり、また入力インピーダンスは固定式で、カートリッジはかなり選ばなくてはならない。対応の幅が広いPerseusに比して、そういう意味でも劣る。
ただし、この固定インピーダンスは、一般的なフォノとの考え方の違いの表れでもある。
つまり、カートリッジにフォノのインピーダンスを合わせるのではなく、フォノの回路に最も適したインピーダンスを設定すべき、という考え方でもって、固定式を選んでいるらしいのである。
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今回は自社設計のアームを装備したスパイラルグルーブのターンテーブル、INDIGO Line Amplifier、INDIGO MonoBlock Power Amplifier、B&W 800Diamondがシステムとして組み合わされ、音を出していた。Qualia&Company INDIGOラインが勢揃いしているためか、少なくともアナログ再生時には、全体に音の足並みが揃った印象であり、降ろし立ての機材にありがちな音の荒さは幸い目立たなかったように思う。また、今回の試聴では高価な同社製DACとの送り出しの入れ替えがあったので、初めて聴くシステムではあったがフォノの音を的確に捉えられて良かった。
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振り返って考えると、このINDIGO MonoBlock Phono Amplifierの音質は、様々な意味で保守的になり、ジリジリと衰退する日本のハイエンドオーディオ界を、空の高みから睥睨(へいげい)するかのようなサウンドにも思える。発表された場所に影響されたせいか、そういうイメージは、今も拭い去れない。表現はともあれ、これはやはり先進的かつ孤高のフォノであることは間違いない。そして、600万円というプライスタグを納得させる性能と個性を兼ね備えた素晴らしい出来栄えであることにも間違いはない。


Summary

オーディオの大問題として、アナログか、デジタルかという議論は尽きないが、もしその論議をする人々がAir force ONEやこのINDIGO MonoBlock Phono Amplifier、Perseusなどの最新最強のアナログコンポーネントを聞かずに言い争っているなら、それは明らかに時代遅れだろう。これらの超弩級のシステムの実力は従来のアナログオーディオの概念を逸脱した部分が多く、少なくとも部分的には似て非なるものに変貌しているからだ。とはいえ、このレベルのアナログ機材をじっくり試聴できる場所も機会も実はほとんど用意されていないのが現状であり、多くのオーディオファイルは、このレベルのアナログサウンドについては全くのvirginであるはず。惜しいことだ。確かに、以前のアナログオーディオのサウンドと最新のデジタルサウンドは比較対象にはならなかったとは思う。しかし時代は変わった。INDIGO MonoBlock Phono Amplifierが提示する膨大な世界の前には、デジタルオーディオの音質面の優位性は既に危うい。それは、今回のイベントの中で行われていた、同じシステムにおいて、送り出しのみデジタルとアナログをかけ替える試聴でも明らかだった。デジタルとアナログは異なるものなので、同じ土俵で比較すべきでないという常套句、アナログ支持派の逃げ口上は、こうなればもう必要ないかもしれない。
また、このサウンドの素晴らしさはデジタルオーディオに対してだけではなく、保守的なアナログ再生へのプレッシャーとしても作用するだろう(と勝手に想う)。ノイズや歪みをむしろ愛でるかのような骨董品的な音の味わい、オリジナル盤の希少性、メディアの視覚的な大きさが生むビジュアル的な存在感。そういうオーディオの音質そのものの優秀性とは少々ズレた部分にウエイトをかけすぎたアナログ再生へのアンチテーゼが、ここにある(とあくまで勝手に想う。)私はそういう保守的なオーディオのマンネリズムとノスタルジーを尊敬しつつも常に避けてきたが、近頃、私の方針に添ったアナログ関係のプロダクションが増えてきた事に密かに(そして、ますます勝手に)驚いている。

恐竜時代の最後に現れて、恐竜の滅亡後に地表を席巻した哺乳類の先祖たち、それはネズミのような小さな生き物だったらしい。恐竜の足元で走り回るそれらの小動物のイメージは、PCオーディオのお手軽DACや薄い筐体をまとったオールインワンのアンプのイメージに重なる。絶滅しつつある恐竜を見上げる彼らの目には次の時代が確かに見えている。
しかしながら、それを見下ろす恐竜たちが今すぐ滅び去るワケではない。

INDIGO MonoBlock Phono Amplifierは確かに恐竜だ。だが、進化した恐竜だ。これはハイエンドオーディオに今も残る超弩級の伝統を受け継ぐモノであるが、過去のオーディオを離脱し新しいオーディオの世界を拓くモノでもある。彼が紡ぎだす音模様はまるでひとつのストーリーのように聞こえた。それは幻のような過去の伝説ではなく、リアルなドキュメンタリーように、現在進行形のサウンドとして我が耳に響いた。それはまた一つの驚きであった。
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この莫大なTOKYOを見遥かすホテルの一室で、
思いがけず、私は知った。
“終わり”はまだ始まったばかり、
パーティはこれからなのだと。

by pansakuu | 2013-11-10 09:15 | オーディオ機器