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Dressing APS-DR002, APS-DR003の私的レビュー:自腹を切れ

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黒猫でも白猫でもネズミをとる猫が良い猫である

鄧小平


Introduction


あまり使われない言葉となりつつあるのかもしれませんが、

「騙されたと思って買ってみな」という言い回しがあります。

これは江戸時代の話しことばが初出だろうと思うのですが、

長い間、日本で使われてきた言葉です。

寄席で古典落語なんかを聞いていると時折耳にしますよね。


この言葉には、騙されたかもしれないと思って買った先に、思いもよらぬ新しい世界が広がっている場合があるという、実体験に由来する知識が含まれてはいないでしょうか。この種の知識を我が物とするには、勇気と寛容、もっと簡単に言えば、少々の失敗には懲りない性格を持つ必要がありますが、幸か不幸か、私はそちらの方面には自信があります。


先ごろ、パイオニアさんが、ここで取り上げるDressing APS-DRシリーズの発売を突如として告知した時、私は思わずこの知恵の言葉を呟いていました。

この小さな機材の説明を読むとパソコンやDAPなどのUSBポートにこの小箱を挿すだけで音が良くなるなんて調子のいいことを書いてありますから、多少は揶揄されたり叩かれたりすることを覚悟で挑(いど)んできたのでしょう。そしてこれらを、万単位の金額で売りつけようというのですから、担当者は音によほど自信があるのでしょう。

その意気や良しと。


さらに、この製品にはグレードの違いがあることも驚きでした。DR000からDR003まで4段階もある。この手のオカルトグッズ(失礼)にはグレード別に複数の製品が出される場合は稀なんです。それは、その効果に強弱・高低が付けられるほどの技術があることを意味していますんで。オカルトグッズの多くは思いつきで実験してみたら個人的に音が良いと思ったんで、とりあえず100個作って売り出してみましたっていうノリの、詰めの甘い製品が多いジャンルですから。こういう力加減が出来るってことは、それなりにテクノロジーを掘り下げて製作過程の細部も熟慮しているということでしょうね。やっているメーカーは、最近の業績がいま一つとはいえ天下のパイオニアだし、製品の仕上がりもかなりキレイそうだし。オカルトグッズ(またまた失礼)としては異色で面白いなと思った次第であります。


それにしてもこんなモノ、10万で誰が買うんだ? 

あっ、オレだ。

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Exterior and feeling


とは言うものの先ずは2万円のDR002から買いましたよ。いくら万策堂でもいきなり10万のDR003はやめときました。こういう場合に限ってDR002が良かったらDR003に進もう、などと俄かに計画的な考えを導入したりする。一般常識からすれば理不尽なモノを買う場合も、まるで罪滅ぼしのように理屈を通したくなるのが人間という動物ですね。

届いた小さな黒い箱型のパッケージを開けると、黒い金属でできたUSBメモリーのようなDR002と裏に測定値が手書きされたシリアルナンバーつきの保証書が入っておりました。


ところで、DR002が計測したデータを一個一個につけて出荷しているのは、これがいわゆるオカルトグッズという、おまじないじみた怪しいモノではなく、計測という客観的な視点から見て違いがある、科学的な裏付けのある機材であることを強調したいのでしょう。でも、なんで科学的な裏付けがないとそれを買わないという話になったのか?オーディオは科学だから?裏付けがあろうがなかろうが聞いてどれくらい気持ちいいかが問題ではないかな。むしろDRシリーズに付けられた計測値の紙切れ科学という宗教から派生した、おまじないや免罪符のみたいなものに私には見えてきます。


DR002本体の表面は少しツヤのあるブラックカラーでヘアライン仕上げが全面になされています。持った感じ重くはないのですが、剛性は高そう。このモデルの場合、ロゴは白字で印刷され、僅かに表面から盛り上がっています。DR002のボディケースは二つのパーツからなり、それらは箱とその蓋のような関係です。薄い長方形の箱に蓋をして、その蓋の四隅を小さなネジで止めているような構造です。ひとまず外観は隙のない仕上がり。

試しにパソコンのUSBポートに挿してみたのですが、これはどうも横に出っ張るモノですね。ここにさらにUSBケーブルを挿すと、かなりの出っ張りで邪魔ですな。これじゃUSBポートに不相応に大きなモノを挿してる状態ですから、接続は不安定になるのではないかとも思います。


そこでDR002の下に紫檀とヒッコリーで自作したスペーサ―を取り付けて、常に端子が真っ直ぐにパソコンのUSBポートに安定して入るように工夫しました。机の表面から出た支柱でDR002を支えているような格好です。こうすると出音がピタッと安定します。一般にUSB端子というものはロック機構らしいものが皆無ですから、私は自分の機材のUSB関係の端子全てに、このような下支えの工夫をしています。このささやかな施工はUSBの電極が斜めにポートに入るのを防ぎ、十分な接触面積を稼げるうえ、端子の微振動を止めるのにも役立ちます。


私はDR002の中身を開けて見るなんて失礼で危険なことはしませんが、DR001のプアな中身の写真は見ました。DR002も大したパーツは全く入ってないんでしょうな。類似の機能を持つiFiの製品の中身も見たことがありますが、拍子抜けするほど部品点数は少なく、高級パーツは一つも見当たりませんでした。トランスペアレントのケーブルの謎箱の中身を思い出します。これはハイエンドオーディオじゃよくある話だから、動揺はしませんがね。でもiFiのは威力はあるんですよ。iPurifier2USBケーブルのDAC側につけっぱなしで外せなくなってます。ついでにDC iPurifierRe Leaf E1xの電源側に付きっぱなしです。iFiの機材はどれもだいたい優秀です。これらは音が明瞭になり、音像の曖昧さが排除されるというのが共通した効果です。簡潔な言い方をすれば様々なノイズを取り除くということを主眼にしている。そして、その効力の強さと安定性を価格と秤にかけて考えれば、中身の見かけ上の貧しさなんぞはどうでもよくなってきます。つまり、オーディオは外見や中身を見ただけでは分からないということですな。よく製品を分解しては部品の原価なんかを調べ上げ、実はこんなに安いモンだとか鬼の首でも取ったように騒いでる方もいますけど・・・哀しいですねえ。


後ほど詳しく述べますがDR002を使い、十分な効果があると分かったので、さらに調子に乗ってDR003まで進みました。こちらは値段だけあって流石な代物。USBに付けるアクセサリーでこんなに高価かつ作り込まれたものはほとんどないんじゃないでしょうか。単純にDR002と比べ少しお金がかかっているように思いました。でもパッケージはDR002と同じ。入っている保証書も同じで、マニュアルもないです。桐箱に入っているという情報はデマでありました。ただし測定値の部分はDR002より少し細かく、広い範囲を測定しており、値がDR002よりも良くなっていること、検査をパスした旨のハンコが押してあるところが違います。どちらも検品担当者の名前は同じでしたから、結構忙しいんでしょうね。コレ、品薄状態らしいですから。

DR002と比べてDR003ごくわずかに重く、剛性も微妙に高いような気がします。あくまで気ですがね。これはおそらくDR002とは素材が変わっているのでは?より高価で硬度が高く加工しにくいアルミ素材ではないか、あるいは表面仕上げの違いだけなのか表面は梨地の銀色で黒のヘアライン仕上げと全く違います。さらにロゴは印刷から彫り込みに変わっています。この硬さの金属にこれだけ細かい字を深く掘るのは大変で、カネがかかるでしょうね。地味な話ですが、こういうモノは表面に彫り込みがあるかないかで微妙に音が変わる場合があります。実際、その彫り込みで共振をコントロールしている例もありますね。Boulderのプリアンプの側面なんかがそう。

そうか、サイズが全く同じで、彫ってあるのに重さが僅かに重いということは、材質か部品に変化があるとしか思えないな。

また端子の仕様に変更はないようですが、中身はDR002とは違うらしい。さらにグレードの高いパーツを使っているとのことですがね。果たして音はどう変わるのか?

噂では、DR003については一個一個担当者が聞いて、音に十分な変化がないものは出荷してないそうです。測定値の上にPASSってハンコがありましたね。これは全品検査済みの製品であり、検査の過程で振り落とされるものもあるとのこと。まー10万もするんだから、それくらいやってもらわないと。

とにかく、DR003ほどの意気込みでれたUSBオーディオ関連のグッズは知りません。iFiiPurifier2DR002と効果や仕組みは違いますが、ほぼ同クラスの類似した製品であります。今まで買えたのはここまで。DR003USBオーディオ関連グッズとしてさらなる高みを目指したものと捉えています。

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The sound


私は以前、胡椒の味や香りに凝っていたことがあります。世界の各地でいろいろな品種の胡椒が栽培されていますが、どれも産地ごと、あるいは農園ごとに香りや辛味が異なる。手に入る様々な胡椒の中から私が最後に選んだのはカンボジアで育てられた、ある胡椒の実でした。食事の直前にそれを挽いて料理にふりかけると芳しい香りが辺りに放散されるのですが、その瞬間に驚くほど料理自体の印象が変わります。より豊かで深い味わいはもちろんですが、口に入れる前から既に皿の中に引き込まれるような食欲の高まりを感じます。食を愉しむことにおいて、この胡椒の香りを加えるか加えないかは大きな差となる場合がある。


Dressing APS-DR002, APS-DR003はオーディオにおける胡椒のようなものです。要するに最後の仕上げの調味料。PCオーディオシステムにこのデバイスを加えるか否かは私にとっては大きな差となってしまいました。これを加えるとシステムの音の香りが明らかに違ってくるように思いますので。

音と音の間にある空間が露わになり、音がほぐれ、ひとつひとつが立ち上がってくる。

食材の味を引き立てる香りを加える調味料としての胡椒の役割と類似点があるのです。


まずDR002ですが、USBポートに挿して、その反対側にUSBケーブルを挿すという方式で使うのが最も効果があるようです。実は空いているUSBポートに挿すだけでもある程度効果がありますが、私の場合、よりはっきり音の変化を感じるのはUSBケーブルをDR002に挿す方でした。

なおこのグッズはDAPUSBポートにケーブルを介してつないだり、あるいはDR002,003DR001を挿した状態でPCに挿したりすることでも音質改善の効果があります。これも実際に確認しましたが、どちらの場合もDR003の方が効果がよりはっきり表れますが、DR002でも一応の変化は感じられます。DAPに挿す場合はPCに挿す場合よりも音質がスッキリする度合いがやや強いような気がしましたね。それからDR002,003DR001を挿すこともできますが、こうすると音の強調感が少し減って、なだらかな音になります。DR002単体で使って音がキツいと思った方はこっちの使い方もいいかもしれません。空きのUSBポートがあればの話ですが。それから下位のDR000DR001についても単体で使ってみましたが、こちらは価格相応の効果はないと思いました。これらはDR002DR003と組み合わせる前提なら買う価値もありそうですが、単体ではお薦めできないですね。

なお、今回は普通のWindows10のノートパソコンとJriver、自前のRe leaf E1x, Nagra HD DAC, THA2そしてMDR-Z1Rで聞いています。

パソコンに特別なセッティングはなにもしていません。


実際にUSBケーブルの先にDR002を挿した当初は、アレっというくらい、変化量が小さいものでした。音の輪郭が多少クッキリしたかなぁくらいしか分かりません。これは接続する機材や試聴する楽曲、試聴者の耳の良さの度合いによっては、知覚されない位の小さな違いでしょう。例えばスピーカーだとこの差がはっきりしない場合も多いと思います。ヘッドホンなら、ハイエンドなものならわかると思いますが、プリメインアンプやDACについているオマケ程度のものだとよくわからないという人も居そう。これだとデモじゃ苦労しそうだね。聞かせ方を工夫せんと。

とにかく、そんな程度なんです、初めは。



しかし、一時間、二時間と聴いているとだんだん違いが大きくなってくるのがわかります。まず各楽器・パートの分離がグッと明確になってきます。ゆっくりと霧が晴れて、澄み渡った空の下、清冽な空気を通して風景を眺めるように音がどこに配置され、どういう位置関係にあるのかがはっきりと見えてくると言ってもいい。毎日使い続けて数日経過するとまるで自分の視力が上がったかのように、音楽の構造や細部が詳しく見え、それらは遠近感や立体感をもって眼前に展開するようになります。音の立ち上がりの複雑な姿があらわになり、余韻の滞空時間は驚くほど長くなる。音楽は最後の一滴まで絞りあげられて我々の耳に届くようになります。ここまで聞き続けて初めて効果が実感されました。


もともとDressingという単語には整えるという意味があるそうですが、まさにこの機材は音を整えることに主眼をおいたもののようにも聞こえます。音楽を構成する要素が整理されて、手に取るように見えるようになるのです。別言すればDRシリーズの音作りの本質はかなり視覚的なサウンドに傾いたチューニングにあると言ってもいいでしょう。


試しに攻殻機動隊のサントラを出してきて聞いてみると、十分にエージングされたDR002の威力が良く分かります。シンセから繰り出される何種類もの音が、まではゴチャゴチャに混ざって聞こえていたのですが、DR002を介すると、各音が整然と分離し、在るべき位置に整頓されて聞こえるようになります。前面に出て激しく躍動しているボーカルや楽器に音にかき消され見えなかった、背景のドラムやベース、リズムセクションの響きの線、音の色が初めてくっきりと見えました。

クラシック音楽などでも、曲が始まる瞬間の奏者の呼吸や衣擦れ、フルートのボタンの操作音がよく聞こえるようになります。オーケストラの全員が息を合わせて音楽が始まるのがよく見える。アナ・カラムのボサノバの弾き語りを聞いてみると、彼女の呼吸、指の動きの速度の細かいニュアンスがしっかりと聞き取れるようになります。彼女はこんなにも柔らかく歌っていたのですね。

これは、いわゆる「この曲にはこんな音が入っていたのか」系のサウンドですよ。こんなものが聞こえるのを喜ぶのはオーディオマニアであり、音楽ファンの立場ではないですが、私個人にとっては嬉しい変化でして。また自分のライブラリーの全曲を聞き直さなくてはならないようです


私は既に厳選したUSBケーブルを使い、iFiiPurifier2も接続しておりましたので、これ以上、この分野で改めることは無いように思っていたのですが、そうでもなかったようですね。とにかく私のシステムでは時間をかけて実力を発揮させるなら、DR002iPurifier2よりも効果が高いように感じました。


私がネットワークオーディオをやめて、PCDACUSBで直接つなぐシンプルな方式にした理由はいくつかあるのですが、そのひとつにYou tubeを簡単に視聴できるようにしたいということがあります。KinskyでもYou tubeを聞くことはできますが、やや手続きが煩雑ですし、KLIMAX DS/2を使っていた頃は切り替えが時に不安定でした。You Tube自体の音はたかが圧縮音源なのですが、新しい音楽を真っ先に聴きたいなら、ここを無視することはできません。このDR002を介するとYou Tubeが驚くほど魅力的な音質で鳴ります。PC由来のノイズが大きく低減され、小さな気配成分のような音が聞こえるようになるのです。圧縮音源にもこんなに豊かなニュアンスが出せるとは少しばかり驚きました。ノイズの低減による小さな音の明瞭化はフォーマットの不利を補完するような効果もあります。


DR002の効果をまとめると、出音のSNが明らかに上がり、楽器の分離がかなり良くなって、ダイナミックレンジ若干拡大する。そんなところでしょうか。一方やや音が硬く、音圧が高くなってアタックが強めに感じられるようになった気もしますが、音質的なデメリットとしてはっきりしたものとは思えません。2万円でこの効果ならアリでしょう。

なお、この製品の音質に関して注意すべきは数日聞き続けてから、自分に合うかどうか判断すること。明らかにエージングが必要なのです。それはお前の耳が馴れただけじゃねえかという方もいますが、仮にそうだとしても、それならそれでいいですよね。所詮は自分の耳で聞くものなんだし、結果オーライでしょ。

まあ、私は経験上、機材側でのエージング効果はあるというのは疑ってませんけどね。というのはある機材のエージングが進んだと思った時点で、並行して以前から聞いている機材の音の聞こえが変わってきたという経験はほとんどないですから。

新しい音の側面への気づきというのはあるにしても、聞く人間の側のエージングだけで全ての経時的な音の変化を説明するのには少々無理があるように思います。

それからDR002も003もどこかにきちんと固定した方が音がいいですね。接続の安定が大事だと思います。


ここで苦言を呈するとしたら、このDRシリーズはデモをしている場所も極度に少ないうえ、直販を中心に販売しているので、ヨドバシなどの家電量販店ではDR002,003を注文することすらできないということ。製造している側は証拠までつけてオカルトではないと主張しているし、実際に買って聞けば、十分納得できる音質を備えた製品なのに、なんで堂々と街中でデモして売らないのか?それからもうひとつ、DR002はポートから出っ張り過ぎですね。そもそもUSBケーブルの端子ごとDR002にしちまえばいいのでは?そういうUSBケーブルがあったら欲しいですよね。


さて10万円のDR003の音質ですが、こちらも初めはなにがいいんだか、はっきりしません。DR002の最初と同じ。若干音がはっきりするかなくらい。ただスケール感や音の落ち着き、音のエネルギーの吹き上がりの勇ましさなんかも合わせて感じられるところがちょっと違うのです。DR002とは一味違うのかなと・・・。

案の定、聞き続けるとやはりよく鳴るようになってくる。微妙なニュアンスの表現や楽器の分離感はそのままに、DR002よりも積極的な表現になる。例えば音場の広がりがより強く感じられたり、楽器が強奏される部分、歌手が激しく歌い上げる部分でもっと強い音のエネルギーを感じるようになります。このDR003の表現に比べるとDR002はややこじんまりした音です。それからDR003は音量を上げても、うるさくならないというところもいい。SNDR002よりわずかながら高くなっているように感じます。加えて聞いていると音がこっちに飛んでくるような勢いの良さもある。これもDR002ではあまり感じない特徴かな。

それから音楽のグルーヴというか、流れの表現ですね。DR002だと各音がほぐれてバラバラになることが優先していたそれだと時に各パートが一体となって流れている雰囲気が置き去りにされそうになるのだけれど、DR003はそこも聞こえてくる。素晴らしい。


ただしDR003の音の全貌は、かなりハイエンドな機材でないと見えないのではないかと思います。対象となる音楽持つ固有のスケールがどんな大きさだろうと、受け止められるだけの懐の深い機材が必要というかね。DR003はビッグサウンドなんですよ。システムが広い音場を表現できたり、細かい音だけじゃなく、量感があって太い音なんかもそれらしく聞かせられないとDR002と比較して良さが分かりにくいかも。確かにUSB関連の機材でここまで奥深い表現を加えるものは知りませんから、私はDR003を使い続けることになりますが、まず誰かに薦めるならDR002ですね。これはUSBを使う全てのオーディオマニアに使ってみて欲しい。そして、かなりハイエンドな方向に行こうとしているオーディオマニアで究極のUSBオーディオが欲しいなら、DR003までトライして欲しい。


ちなみにDR002,003による音質の変化については以前、ちょっと取り上げたアコリバのRPC-1と効果が類似した部分もありますね。でも、あちらは24万でコンセントを一個を消費し、使える機材を一台減らしてしまいます。DR003の方は確かに高価ですが、10万どまり。機材を減らす必要もありません。どちらがいいか。私の場合、ノイズ狩りの手始めとしてDR002,003をまず買うことに迷いはありませんでした。


Summary


ぶっちゃけた話、ここで取り上げたDressing APS-DRシリーズは、実際のオーディオの世界ではいわゆるオカルトグッズというモノに分類されてしまっています。

でも、ここで言うオカルトってどういう意味なのでしょう。


一般に科学的に十分に説明がつかないものをオカルトと言いますよね。

私の解釈では、オーディオでオカルトと言われている製品は、まず現物の見掛けと謳っている効果が解離していて、その動作原理があまり聞き慣れないものであるうえ、実際に計測され波形や数値の違いが示されない、そして自腹で購入した素人による信用に足るレビューがない、あるいは少ないというモノです。要は科学的な・客観的な裏付けがないように見えるグッズです。それは外部から見れば、まるで音の良くなるおまじないのように、いい加減なモノに見えるはず。



ここでは「実際に計測される波形や数値の違いが示されない」というところが特に重要でしょうか。そういう意味ではDressing APS-DRシリーズは波形や数値に違いが出ることが示されているので、厳密にはオカルトグッズに入らないはずなのですが・・・。

そういえば、部品の原価が安いのに小売価格が高くて、音質向上が小さい製品もオカルトと一緒にする人がいますが、この場合はそういう使い方なのかもしれません。でもそれってまぎれもない混同ですよね。それは正確にはボッタと言うべきです。(これらは十分な効果はあるから、ボッタでもないんですが・・・。)


いつも言ってますけど、私は波形や計測値は全面的には信用しません。マイクの奥にある薄い金属箔や合成樹脂の振動板を揺らして得られる音波の波形と、耳道というきわめて特殊な材質の音道を通り、人間の鼓膜という生体素材でできた薄膜を震わせてできる波形が同じものである保証はどこにもないし、ましてや人間はその波形を左右で統合し大脳皮質でプロセシングしているわけですから、機械で測った波形や数値など参考ぐらいにしかなりますまい。そもそも計測の仕方が正しいと、測った現場に居合わせなかった者が言い切れるでしょうか?結局、細かく見れば測定自体、結構眉唾ではないか。そう考えると測定値で違いが出ていさえすればオカルトじゃないという立場には立てないですね。


告白してしまえば、万策堂の心の中には真の意味でのオカルトグッズという概念はありません。オーディオの中には人間という、科学で未だ割り切れない要素が存在するからです。すなわちオカルトグッズとはオーディオの実態を反映しないスラングであり、多くの場合、金銭的な余裕がないので試せないものをそう呼んで、購入しないことを正当化しているだけです。

世の中に在るのは音に効くグッズと効かないグッズ、この二つだけです。


ふりかえってみると、私は随分とオカルトグッズと呼ばれるモノを買ってきた覚えがあります。その中には実際に音に効くもの、全く効かないもの、効き過ぎて困るもの、いろいろとあったと思います。

最近で印象にあるのはGe3のエンジェルファーやケブタ、フルテックのコンセントプレートOUTLET 105D NCFあたりでしょうか。特にGe3のエンジェルファーなんかは見てくれも内容もまさにオカルトです。すぐに納得できるような科学的な裏付けはありそうもないですし、波形や計測値の変化さえ示されておりません。聞く前はこれこそおまじないの部類と疑ってかかるのですが、実物を借りてきてスピーカーの前にぶら下げてみると、困ったことにシッカリと音の違いが聞き取れてしまいます。意外なほど柔らかく澄んだ出音に変わる。一般にGe3のグッズは科学的な裏付けを謳っているアクセサリー類よりも、音に効く度合いはむしろ強いと感じることが多いですよ。心理学的な違い、オカルトと言えばそれまでですけど、確かに音を良くしている。しかし見かけが個人的にどうにも馴染めないので、万策堂はそれらを使い続けたことがないというだけなんですね。なんかこの見てくれで、これだけ効いちゃうと怖くないですか。もしこの怖さがオカルトグッズを否定する理由だとしたら、それには同意できなくもないかな。

フルテックのコンセントプレートに至っては、さらにはっきりと分かる音の違いです。ではコンセントプレートの材質や構造を変えるだけで音が変わるのはどうやって説明したらいいのか。エンジェルファーほど難しくはないでしょうけど、こちらもかなり苦しい説明になりそう。でも音は確かに雄大に力強くなったように感じます。分かりやすい違いでした。こちらはエンジェルファーやケブタと違って目立たないので即採用というか、もう外せません。コンセントプレートとしては高いけど、音質の変化を考えると私にとってはコスパは高かったです。



こういう予想外の違いがあることを知るには、まずは無理を言って借りてみるに若くは無い。なんの保障もなく、いきなり買うのは厳しい値段であることが多いですから。しかし借りると言っても期間は限られますし、そもそもデモや貸出しをしない機材の方が多いので、実際の機材の音を知るには、ついに自腹を切るしかないということが圧倒的となる。例えば貸出しのないフルテックのOUTLET 105D NCFなどは、店頭でのデモもしにくいという製品の性質上、ほぼ自腹でしか音質の違いを確かめる方法がない。こんなに怪しげなプレートがこんなに音に効くのというのはある意味、不幸でしょう。罪でしょう。けれど事実なんですよね。


繰り返しますが、オーディオで大切なのは実物に当たり、

自分の目と指と耳でそれをしかと検分することだと万策堂は考えています。

自らの耳で聴いてみて、音が良いなら、オカルトだろうとサイエンスだろうと受け入れる。

そこでは他人の言説や、信用に足るかどうか疑問な測定値なんぞは忘れるべき。

それら全ては現物との実際の対話の後からついて来るものですから。

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とどのつまり、

場合によっては身を切る覚悟でオーディオと対峙しないかぎり、

得られぬ知識もあるということなります。

騙されそうだと思っても、それが面白そうなモノなら、あえて自腹で買ってみるくらいの勇気と心の余裕がなければオーディオは極められないのではないか。

そういう過酷な現実を、高級な胡椒のように芳(かぐわしい)しい音を響かせるDressing APS-DR003をうっとりと聞きながらつくづく思い知る万策堂なのでありました。


Postscript

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ついにというか、

APS-DR002DR003の両方を持っていれば、誰でも考えそうなことをやってみた。

それはAPS-DR002DR003を連結したうえで、USBケーブル端子を挿入するという暴挙に出たのである。経験上、このようなことをしても、過ぎたるは及ばざるが如しという場合が多い。何かを得る代わりに、その瘍張りな行為が内包するアクの強さみたいなものが災いして、癖の強い、バランスの悪い音になってしまうことが多い。

しかし、意外にも今回は例外であった。

もともとDR003単体だと、なにか出音全体の雰囲気が強烈過ぎると感じる場合があり、多少の聞き疲れにつながっていたが、APS-DR002DR003を連結すると、それが随分と軽減されたような音調となる。これは音のエッジが丸くなったというのではない。キチッとエッジは立っていて、今までこのシステムでは聞こえていなかった、多くの小さな音が重層して聞こえるようになっているのだが、その圧倒的な情報量が脳の負担にならなくなった。この状態でNAGRA HD DACRe Leaf E1を使った結果として、今まで20年以上オーディオをやってきた中では一番細かく小さな音をフォローできる状況が出来上がったと思う。ヘッドホンをあえて使うというのは、スピーカーでは聞き逃しがちな小さな音を聞くためという部分が大きい。音楽の細部へ強烈な眼差しを注ぐ顕微鏡のような聴き方をしたいなら、このように多少度を越したようにも見えるセッティングも存外悪くないと報告しておこう。



by pansakuu | 2017-03-23 13:30 | オーディオ機器