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DENON AH-D7200の私的インプレッション:フラッグシップはどうあるべきか

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技術の進歩より、時代の変化のほうが大きい
By 松井 道夫(第4代松井証券社長)



Introduction

しつこいようですが、例によって
ここ数年、随分なオーディオインフレだという話題から始まります。
ハイエンドオーディオ、なんでも高くなりましたね。
スピーカーは一千万近いものがいくらもある。
アンプもですよ。この値付けも買っちゃう人がいるから、ますます調子に乗るんじゃないでしょうか。騙されているわけではないと信じたいのですが、さしたる理由もなく、価格だけが上がっている場合もなくはないわけで、既にそれに近い状況と判断すべきかもしれない。
高級ケーブルなどに至っては、その音質的優位を認める場合ですら、その材料費・製造費と利益をどう見積もっても1mペアで100万を超える根拠はないと感じることがほとんどです。そんな価格でも、売り出すと一応売れるからと誘惑に乗って、こういう価格をつけてみましたって感じでしょうか。高級スイス時計と同じで、売る側にも買う側にも、もう欲深さしか感じないという話もあります。価格の根拠を開示する義務がないから、こうなるのだとも。とかなんとかブツブツ言いつつも、ああいうケーブルを新品で買っちゃう私も私ですよ。自分がメーカーのペースに乗せられていることは十分意識してはいるのですが。
去年までは我慢して超高級ケーブルを買っていましたが、今年以降はもうついて行かないつもりです。無理してついて行くと向こうがますます図に乗りそうで怖くなってきちゃいました。

そうそう、ヘッドホンなんかでも10万クラスが普通になりました。
中には50万円を越える製品もチラホラ。
でもまあ、買える値段ですよ、超高級ケーブルなんかに比べれば酷くない。
そうは言っても、一昔前、ヘッドホンってこんな値段のものばかりでしたっけ。
長らくオーディオマニアやってますけど、
最近はホントにどういう買い物をしたらいいのかよく分からなくなってきました。

そもそも技術革新ってなんだったんでしょう。
闇雲に高性能を追求すればいいっていうものじゃないでしょ。
より高音質なものを、より安価に多くの人に提供するのが、
技術革新の主な、あるいは真の目的だったんじゃないスか。
こういうバランスを欠いた開発によるインフレーションは、慣れ親しんだハイエンドオーディオを富豪だけが知りえる幻の世界に追いやりかねないって口酸っぱくして言ってるんですけど、世の中に全然響かないなあ。

この状況に対する具体的な対策のひとつは、旗艦機=フラッグシップ機の値段を抑えたままでのモデルチェンジだと私は思っています。
でもそれは、なかなか実現しないことなんでしょうね。
大人の事情でいろいろと難しいのか。
現実、ほとんどのメーカーのニューモデルは従来機よりも価格を引き上げる傾向にありますね。
しかし、やればできるという例を見つけました。
DENONの50周年記念の旗艦機 AH-D7200がそれです。


Exterior and feeling

フラッグシップ機としてはいささか小振りで、あまり主張のない外観です。
そこが逆にユニークなんですよね。
最近のヘッドホンのフラッグシップモデルは一見して、物量投入され、先進的なデザインを纏うことが多いし、ハウジングが大きいのも最近のトレンドですので、大型で重たくなりやすい。SE-MASTER1、MDR-Z1R、Utopia等、どれも新設計、新素材、新デザインと今までにないものを開発しようとする意気込みが外見に出ています。
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でも、このAH-D7200の姿にはそういう肩をイカらせた先進性の主張がない。
実売9万をやや下回る、メジャーなヘッドホンメーカーの旗艦機としては抜群に魅力的なプライスタグを思いやりつつ、このヘッドホンを手に取ると実に優しい気分になれますな。最近のハイエンドヘッドホンの中では、確実にコンパクトだし、重いとは言えない部類に属してるんじゃないでしょうか。
明るい色合いのウォールナットのイヤーカップとポリッシュされたアルミダイキャストハンガーの組み合わせはトラッドでカジュアルな印象です。デンマークの家具のようなシンプルで明るいデザイン。何気にハイエンドヘッドホンというとマニアックで部外者を近づけないネクラでオタクな雰囲気があるのですが、そういうマニアックな感じの悪さがない。クローズドタイプのヘッドホンにしてオープンな感覚が好ましい。全体にナチュラルな仕上げで、ツルツル、ピカピカ、ギラギラといったこれ見よがしの高級感の演出はあえて避けているようです。最近流行のスティルス調の仕上げでもありません。DENONのロゴの金色、その位置や大きさも周到に計算されたもののように、ピタリとあるべき場所に収まっております。
それからネジが外側からほとんど見えない作りでありながら、持った時のシッカリ感があるのはいいですね。調整や装着、姿勢変化に伴う軋みや、イヤーカップの位置ズレも皆無。実にオーソドックスな外見とあいまって安心して使っていられそうです。
それから外側のみシープスキン製のヘッドバンドにあしらわれた菱形のステッチがちょっと斬新か。こういう柄模様のようなステッチはヘッドホンでは初めて見ます。アーガイルのセーターを着て、このヘッドホンを使う絵が思わず頭に浮かびました。もちろんこの菱形のステッチはデザインだけでなく装着感を高め、頭頂部にかかる力を効果的に分散するという実用的な配慮があるようですけど。
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ハンガーのヒンジの動きは滑らかというよりは若干シブいかな。MDR-Z1Rのように自由に動き過ぎず、好きなところでスッと止まる感じです。スライダーの動きは確実で不用意なズレは皆無。このあたりの作りはヘッドホン作りの最難関の一つですが、さすがに老舗、無難にまとめておられます。
イヤーパッドは加水分解に対する耐性の高い特殊な合成皮革と形状記憶フォームで作られており、やや薄く小ぶりなものですが、耳介を違和感なく収め、側頭部に圧迫感をほとんど与えない優れものです。最近の高級機は本革製の分厚く大きなイヤーパッドを装備したものもよくあるのですが、造りが良ければこういうコンパクトなパッドで十分なのですね。そしてパッドの内側にさりげなく開けられた音響チューニングのための穴を確認。こういう穴はDENONのヘッドホンでは初めて見たような気がしますがどうなんでしょう。少し前までこういうチューニングの手法は珍しかったのですが、いくつかのヘッドホンで取り入れられはじめていますね。
このAH-D7200のウッドハウジングは最近の高級な密閉型ヘッドホンとしては、明らかに小さく、やや薄い印象をもつものです。その形状も天辺が平らなドーム状という、ごく普通のものであり、例えばMDR-Z1Rのハウジングに見られるような驚きの形・素材は採用されておりません。それにしても、このように小さく、かつ特別な形や素材を使わないハウジングで、どうしてこんなにも広い音場を実現できたのか?ハウジング内部に格納される50 mm フリーエッジ・ナノファイバー・ドライバーの完成度の高さと、ハウジング・イヤーパッドに対する長い経験に基づく細かなチューニングの勝利ということなのでしょう。

実際に装着すると、重いとは到底思えないもので、付け心地もとてもよろしい。側頭部全体を包み込むようなMDR-Z1Rの装着感とは違い、優しく押さえられた耳の周囲の感覚がそのまま頭頂部方向に続いてフェードアウトしていくような心地です。AH-D7200は考え抜いて作られた、どちらかというと小さなヘッドホンであり、大きなヘッドホンにありがちな鬱陶しい感じがほとんどありません。
さらにリケーブルにデフォルトで対応するところは現代のトレンドに配慮していますね。昔、AH-D7000をバランスリケーブルした時は結構苦労したものですよ。しかし、このAH-D7200となるとほぼ一発でバランスリケーブルを装着できます。なおリケーブルのヘッドホン側の端子は3.5mmのモノラルミニで、MDR-Z1Rのようにロックこそないものの抜けやすくないので、信頼性は高いようです。
ヘッドホンケーブルは布巻され、おまけに端子はハウジングからブッシュでフローティングされており、タッチノイズへの対策も万全です。内部の銅線は7N無酸素銅を使用しているそうで。下手なリケーブルは無効ですね。

このヘッドホンの外観・装着感を検見(けみ)していると、特殊な材質のパーツの使用が現代のフラッグシップヘッドホンとしては意外に少ないことに気づきます。シープスキンなどの高級素材を少なくし、耐久性を重視した合皮を多用するなどして、合理的にコストを削減しているのもわかる。さらにリケーブルに対応するところなどは、現代のヘッドホンマニアの要求に応える部分であり、色々な方向から見ても文句のつけようがない出来です。


The sound 

最近聞いたヘッドホンの中で、音のまとめ方が最も巧みなヘッドホンであり、音響以外の装着感などの要素も含めた総合的なコストパフォーマンスは最高です。このヘッドホンに出会う前まではFocalのELEARがその意味で最も素晴らしい製品だったのですが、それをさらに上回る音作りの巧さがあり、価格はずっと安い。それからELEARよりももっと多くの人の意見を集約して作られた音のようにも感じました。つまり死角が少ない音なんですね。
私が聞いたのは製品版に限りなく近い、最終的な音決めが終わった個体で、このままで発売されると考えていいとのこと。あまりに音がいいので何回も聞きに行ってしまいました。ちなみに前回のヘッドホン祭りでは、このヘッドホンの音はこんなによくなかった。いろいろ変えましたね、とDENONの中の人に語りかけると笑顔で返してくれました。

まず、聞き味がいいんですよ、このAH-D7200は。先々代のAH-D7000のあのナチュラルな聴き疲れしない音調を彷彿とさせるんですよね。このヘッドホンの音は柔らかく、耳当たりがいい。鋭い音は出さないが、決してまあるい音じゃない。サ行が刺さる、ハーシュネスが強いという言葉からは遠く離れた穏やかさを感じるサウンドでありながら、音の鈍さがない。立ち上がり・立下りのスピードは、早すぎもせず、遅くもなく。なにを言いたいのかって?私は、このヘッドホンの中庸をゆくバランスの良さが素晴らしいと言い放ちたいのです。
実際、ヘッドホンの音の調整ポイントはかなり多く、そのどこを変えても、音は変わってしまう。共存の難しい多くの要素を調整しながら進む音作りの中で、どこをそのゴールとするのか。そのゴールの設定が難しいと思うのですが、このAH-D7200の音の落としどころは、結果として絶妙なポイントだったのではありませんか。こういうバランスの良いクセの少ない音に、さりげなく届いているところを見ると、むしろ、ここに至るまでのスタッフたちの喧々諤々(けんけんがくがく)の大変さが目に浮かぶようです。

AH-D7200のカバーする周波数帯域は広く、ピーク・ディップの存在は特に感じられません。そして高域の伸び、中域の厚み、低域の落ちっぷり、どれもなかなかのもので、価格を超えたパフォーマンスを聞かせます。さらに眼を凝らすように、少しだけ音に集中しさえすれば、この穏やかさに秘められた解像度の高さにも気づくはず。
さらに残留雑音の少ない、パワフルなヘッドホンアンプでドライブするのであれば、穏便というだけでは済まされないこのヘッドホンのダイナミズムの一端に触れることもできます。音楽の躍動感も十分に表現できる力量が備わっているのです。ただの優等生でない部分も隠し持っているというわけで。
各パートの分離・変調modulationの少なさについても、かなり秀でたヘッドホンでして、混雑した音を通しても適度に整理されて出てきます。特筆したいのは、ここでは音が整理され過ぎないこと。音声が重なってハモるときの声の質感の描き分けの巧さを感じさせつつ、分離し過ぎで不自然なトータルサウンドとして提示しないところがある。音がほぐれているっていう言い方が適当でしょう。高性能感のみを前面に押し立ててゆくSE-MASTER 1などの最新鋭機の音作りとは一線を画す洗練が垣間見えました。多くの音が混和すると、音像も音場も全てが濁って聞こえることはしばしばですが、ここではいつも澄んだ音が常に聞こえており、適度な透明感は音量を上げても保たれています。

音場の広さについては、密閉型ヘッドホンとしてMDR-Z1Rに次ぐほどの広さを感じさせるものです。この点については先代よりも余裕を感じるようになりました。TH900MK-2と同レベルか、それ以上か。ハウジングをD7000、D7100で使っていたマホガニーからアメリカンウォールナットに変えたのが良かったのか?ハウジング内部は特別な仕上げはないようなので、やはりハウジングの材質やドライバーの改良が効いているのでしょう。
外観からお察しのごとく、このAH-D7200は、先代のAH-D7100の後継ではなく、AH-D7000の後継という位置づけでよいようです。確かにあくまで穏やかな音の傾向は似ている部分があります。ですが、これらの解像度の高さや躍動感、音の分離の巧さ、音場の広さという要素に関しては、先代、先々代より、はっきりと進歩しております。この7200の登場で現在も中古市場で高価に取引されるAH-D7000の相場に変化があるかもしれません。

それから、大きい音と小さな音の間に介在するグラデーション、音の密度の濃淡の描き方は実に細やか、かつ大胆と言えましょう。コントラストをつけるべき時はしっかりと、滑らかな調子で表現したいときはあくまで豊かな階調で音を表現してくれます。これは今かかっている音楽の様相に寄り添う音。とはいえ、ここにもう少しカラフルな表現というか、派手に弾ける音調もありさえすればと思う瞬間も有るには有る。どうもこのサウンドはモノクロ調なんですな。もっとカラーな色気や潤いも欲しい。やはりそこは組み合わせるアンプに、あるいはリケーブルなんかに期待するところなのでしょう。実際、FOCAL UTOPIAと並んで、カラフルなサウンドが持ち味のGOLDMUND THA2で鳴らしてみたいヘッドホンが、このAH-D7200なのです。

また、音像の背景に埋もれている倍音成分の聞こえ方は控え目です。美しい倍音のたなびきからイメージされる音像の透明感よりは、音の実体感そのものを強く感じる質実剛健なサウンド。サウンド全体の傾向としてモニターヘッドホンという感じではないですが、確かにその要素もあります。倍音の響きの中にサウンドステージの広がりの証拠を求めたいなら、少し寂しい音かもしれません。でもあまりそこが、余りにうまく行ってしまうと、音の厚みが失われてしまうから、こういう音のまとめ方なんでしょうかね。音の厚み・実体感をサウンドの軸として、常にキープしながら、倍音成分や空間性、音の透明感、細部の描き分けにも適切に気を配る。どこか骨太な音作りに感じます。こういう確信に満ちた音はフラッグシップとして開放型でなく密閉型ヘッドホンを選んだ時から開発者たちのイメージにあったものかもしれません。
もし倍音成分の表現や音の透明感・繊細さを求めるなら近くリリースされるというKimber kableの銀製のリケーブルを試すがよかろうかと。

このヘッドホンは優れたコンシュマー向けのヘッドホンらしく音楽の感情的な表現の分かり易さを持っているのですが、音楽表現の多様性という意味についてはどうでしょうか。TH900MK2などの定評あるハイエンドヘッドホンたちと比べると、そのポケットの数は少ないのかもしれない。どんな音楽聞いても穏やかさや、聞き味の良さに傾くところがやはりある。音楽の躍動感の発露まではこのヘッドホンだけでも行けますが、激しくハメを外した音楽の半ば狂ったような表現にまで出音を昇華させたいなら、上流にお金をかけなくては。BGM的にリラックスして聞ける穏やかな音、そんな表現でこのヘッドホンの評価終わらせたくなくば、ヘッドホンアンプとか、その前段のDACなどを奢るべきです。掘り下げるべきポテンシャルがこのAH-D7200にはまだ秘められているのですから、散在する価値はある。このヘッドホンの潜在能力をどれくらい開花させられるかは、ヘッドフォニアの腕次第というところはあると思います。

私が日々使い倒しているSONY MDR-Z1Rと比較するのは、約二倍の価格差があることから躊躇する向きもあるかもしれません。しかしAH-D7200のサウンドがZ1Rに劣るとは言い切れないと思います。密閉型らしくない音場の広がり、音の精緻さという面ではZ1Rにアドバンテージがありますが、多くの相反する音の要素を見事にバランスさせ、満遍なく取り込んだサウンドという点ではAH-D7200に利がある。特に低域の質感や量感に違和感を持たれるかもしれないZ1Rよりも、多くのヘッドフォニアに受け入れられやすい、行き届いた音に仕上がっております。



Summary

AH-D7200のオンステージの意味するところはハイエンドなダイナミック・密閉型ヘッドホンの価格破壊に留まらない。この製品の登場はハイエンドヘッドホン全体を見渡してもコストパフォーマンスという意味では目覚ましいものがありましょう。また、ハイエンドオーディオ全体が傾きつつある、恐らくは少し間違った方向性に対して外野から一石を投じる製品でもありましょう。
とにかく、このヘッドホンバブルの時代に旗艦機=フラッグシップ機を、値段を抑えたままでモデルチェンジするというDENONの英断には拍手すべきです。値段を変えず、あるいは少し下げるように調整しながら、音質や質感を確実に向上させる。よりコンパクトで使いやすい形に大胆に変化させる。それは、これからのオーディオ開発のグッドセンスと呼ぶべきものと私は信じています。

最近、欧州のある会社が開発した、巨大で高価なハイエンドDACが東京にやってきました。筐体ごとモノラル化されたこのDACの音質向上には目覚ましいものがあるのですが、この規模と価格には降参です。勘弁してくれという感じ。あるところで、このDACについて「並々ならぬセンスが表れている」と評されていましたが、これはなかば皮肉ではないかと思ったくらいです。私は、見ようによっては、これほどナンセンスな開発はないかもしれないと思いながら、変わり映えしない筐体群を眺めていました。
これは、フラッグシップ機のモデルチェンジあるいはさらなる上位機の開発において音質は上げつつも、より大きく、より扱いにくいものに変化、価格は大きくジャンプするという、近頃のハイエンドオーディオにお決まりの流れそのものです。もうこのやり口には辟易しています。私も昔の人間だし、そういう類のオーディオの良さも分かるつもりだから、いたずらに規模を拡大して得られる、ずば抜けた高音質に興味がないわけではありませんが、少なくともこのセンスは良くないと言うべきなのでは?

私は、もうあの時代は終わったと叫びつづけてきました。あくまでも小声でね。
現代人が生活で必要とするあらゆる機能を一つの筐体に集約した、小型の情報端末が世界を席巻しています。コンパクトで高性能、人に優しく使いやすい機械が人々に深く浸透してゆく時代です。大きく重たいが、限られた機能しか持たないハイエンドオーディオマシーンへの郷愁は、この世界の趨勢の中に呑み込まれつつあります。そういう機材への憧れは繰り返し、度外れの高音質への誘惑として現れる、不滅の存在なのかもしれませんし、世の中のトレンドにあえて抗う姿勢も否定しませんよ。でももう、あのような機材を主力としてハイエンドオーディオを盛り立てていくことは不可能と認めるべきです。今のハイエンドオーディオのフラッグシップ機を見ていると、いつか行き詰まることを知りながら、戻れない道を目をつぶって走ってゆくような不安を感じませんか。

ハイエンドオーディオが我々のようなごく普通のオーディオファイルから見捨てられずに生き残っていくための鍵が、ハイエンドオーディオとは一見無縁な、この小さなヘッドホンに隠れていると思うのは私だけでしょうか。
また万策堂は大袈裟だと笑われるのかもしれませんが、大真面目ですよ。
私個人はオーディオの未来を見据える目でもって、
この AH-D7200を見つめているのですから。

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by pansakuu | 2017-01-02 01:51 | オーディオ機器