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Big Wave:2015年秋のヘッドホン祭りについての私的インプレッション:第二部


前回からの続き・・・・・・。

discussion
ここからは現在までのところ私が実物を聞いた全てのヘッドホンの中から、私が選んだ、いくつかの優れた製品について比較コメントしてみたい。(写真はいくつかのHPから拝借いたしました。どうもありがとうございます。)
なお、前置きで書くべきだったのかもしれないが、ここではイヤホンについては言及しない。イヤホンはコンパクトで持ち運びが簡単、ほぼどこでも音楽が聴けるし、最近の製品は種類も多く、音質も一昔前とは全く比較にならないほど向上し、話題性も人気もすこぶる高い。さらに言えば価格も高騰している。しかしまだ優れた据え置きアンプで鳴らす、リファレンスクラスのヘッドホンのサウンドのレベルには届いていない。音の絶対値が私が評価したいレベルにあるものがほとんどない。具体的にはスケール感や力強さ、音の深みが足りない。
逆に言えば、ヘッドホンとヘッドホンアンプは近年、長足の進歩を遂げており、適切なセッティングがあれば、スピーカーオーディオでは決して得られない独自の深みを持った小宇宙が展開する。これはスピーカーオーディオにのみ没頭するクラシカルなオーディオファイルには、まだほとんど知られていない世界だ。
そういうわけで、イヤホン・ヘッドホン界で誠実に高音質のみを求めるなら、イヤホンではなく、自然とハイエンドヘッドホンに落ち着くはずだ。それに、このジャンルには今、ビッグウエーブが来ているから、それに乗らない法もない。本当に旬の音がここにあり、根本的な変化のない退屈なスピーカーサウンドを私の中で駆逐しつつある。

まず密閉型か開放型かという問題であるが、一般的に言えば開放型の方が高音質が得やすいのはほぼ間違いないだろう。旗艦機は開放型、というメーカーが多数派であるのは偶然ではない。しかし、ヘッドホンを使う大きな目的の一つとして、ヘッドホン自体がまき散らす音、あるいは周囲の騒音を聞かせない・聞かないで済ませるということがあり、そのためには密閉型が理想。これはジレンマである。この矛盾は解決できていないが、優れた密閉型ヘッドホンを作る努力が少しずつ実りつつある。それがTH900やSonorousⅩ、Ether Cである。
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密閉型で優れたヘッドホンとして、これまでは密閉型のハイエンドスタンダードたるFostex TH900を筆頭にコンパクトで軽いが侮れない音質のEdition5、先鋭的な音を聞かせる唯一無二のEdition9、オークションで常に高値をつけるディスコンのSTAX4070などがあった。そこにSonorousⅩ・ⅧやEther Cが参入しTH900の独走態勢を崩すかに見える。だが、TH900の音の個性、音作りの巧さ、ひいては外観の美しさなど、総合的な視点からは、より高額な新規参入者をもなかなか寄せ付けない。SonorousⅩはTH900より威厳ある深い音を持つが、音の個性がやや強く、装着感も重すぎ、価格もTH900に比して高すぎる。SonorousⅧに至ってはTH900より高価だが、TH900ほどの品格のある音ではない。一方、Ether Cは音質の一部においてTH900より勝るかも。特に音場の拡大や定位の向上、高域の繊細な質感の向上などは密閉型としては斬新。だがTH900がサウンド全般で劣るとは思えない。またEther Cは音質はもちろん、装着感も含めてSTAX4070を明らかに超えるギアである。オークションで4070をプレミアをつけてまで争う必要はなくなるだろう。Edition5はポータブルなヘッドホンとしては音質・外観の美しさ・軽さなどを考慮すると間違いなく最高の製品だろうが、TH900、Ether Cほど音質の絶対値は高くない。
こうして見ると、このジャンルは定番のTH900と新参のEther Cが密閉型のトップモデルの両輪として、最前列を走ることになりそうだ。
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なお、今回、ローゼンクランツで改造したEdition9を聴く機会が偶然あった。都合により詳しくは述べられないが、この改造された密閉型ヘッドホンはEdition9特有のキツさがなく、これなら使ってみたいと思った。DMaaもそうだが、カスタム品の音の良さも気になる存在になってきている。そもそもリケーブルというのが、この改造にあたるのだから、この動きは今に始まったことではない。まだ、このようなカスタムを請け負う業者は少ないが、レアなヘッドホン、あるいは自分だけのカスタムサウンドが手に入ることは魅力的だ。ヘッドホン本体のカスタムも将来、ヘッドホンの楽しみ方の一つとして一般化してくるのかもしれない。

リファレンスヘッドホンの主戦場である、開放型ヘッドホンというジャンルについては、評価がなかなか難しい。音質のみを考えるとLCD-4が、今まで聞いた全てのヘッドホンの中で最優秀。音質については文句がつけにくい。この製品は平面駆動型・ダイナミック型の音の特徴を兼ね備えたうえ、正確さと音楽性までも両立させるという離れ業を成し遂げた。音質だけだと、このヘッドホンはエポックメイキングなものである。ただしあまりにも重たく、頭に装着するギアとして落第点に近い。だから悩む。LCD-4を聴くまでは開放型ヘッドホンの最高位は、先行して出ていたHE1000だと考えていた。こちらは音だけでなく装着感もいい。音場の広がりやヌケの良さは飛び抜けている。ただ、音の陰影感や密度、重たさが十分に出ないところに着目すれば、従来の平面駆動型の範疇を未だ出ていないし、駆動するアンプを厳しく選ぶという問題はある。それらの欠点はLCD-4では払拭されたが、トレードオフで重たくなったということである。
MrSpeakers Etherは価格を含めた全体を見渡してもLCD-4やHE1000のような、はっきりした問題がなく、価格上でもそれらに比べると安いことから総合的には最もお薦めできるモデルである。ただし最高の音質を得たいと思った場合には、まず明らかにサウンドで勝るLCD-4があるし、HE1000も十分にドライブできさえすればLCD-4に匹敵する可能性を残しているため、安易な導入に躊躇する。
HE1000とEtherの比較は大変難しい。これらは違うサウンドなのだが、どう違うか表現しにくい。ただ、適切なアンプをあてた場合の空間性の表現ではHE1000にアドバンテージがあるのは確かである。そこに判断のウェイトを置けば、どちらを買うかは自然と決まる。
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これら3つの開放型の新製品のうち特に、LCD-4とHE1000はユニコーンガンダムに出て来るニュータイプ専用のモビルスーツ(ユニコーンやバンシィ)のような、音以外の要素も含めた製品全体のバランスのどこかが悪いが、使い方さえ誤らなければ、圧倒的な音質を誇るモデルである。LCD-4などは音質一点突破主義というか、他のヘッドホンを瞬殺するようなところさえある。それらに比べると、装着感が良く、素直で聞き易い高音質だが、アンプを限る定番モデルのSR009、デザインはユニークだが、音はそこそこで装着感最悪のJPS labs Abyssなどは、同じ駆動方式でも注目を浴びなくなるだろう。今回の祭りの後では、T1やHD800、Edition10、SR009、そして最近出たMaster1も含め、それらは従来のハイエンドモデル、一世代前の製品という位置付けになってしまった。これはザクとかジムほど昔のものではないが、キュベレイとかギラ・ドーガ、Hi-νガンダムあたりの位置にある。もうそれらは最先端をゆくヘッドホンではなくなったのである。ここに挙げた3つの開放型の新製品はこれらのヘッドホンの音を研究して、それらを超えるために作られたのだろうから当然と言えば当然である。ヘッドホン界全体に世代交代の波が来ている。

他方、開放型、密閉型問わず、がむしゃらに最高・最先端の音質を求めるのではなく、音や装着感の安定感、安心感を求めるという向きもある。ロングセラー製品が持つ信頼感を尊重したいという人もいる。そういう方向性なら、もう一つのグループであるHD800s、beyerdynamic T1 2nd generationのマイナーチェンジ組に加えて、定番化しつつあるAKG K812あるいはHD650・HD600 (Golden era) Dmaaを求めると良い。これらはガンダムで言えばジェスタやリゼルのようなものだろう。またHD650・HD600 Golden era Dmaaついては(作品は違うが)スコープドックのターボカスタムのようなイメージが万策堂にはある。もっとプロの道具としての渋みが深く沁みついているからだ。いかんせんMrSpeakers Ether、LCD-4、HE1000は最新の製品だけに多くのユーザーの評価で揉まれていないことがあり、まだまだ信用がない。このようなまだ湯気が立つようなニューモデルは、自分のモノにしてから聴き込むと思いがけず、すぐ飽きてしまったりすることもあるから要注意だ。個人的にはそういう華々しさとは対照的なHD800sの、あえて地味だが着実・質実剛健な音の進化が気になる。
なお、Dharma D1000は最先端で独創的な技術から、どのようなソースも普通に処理する安心感が出てきたという珍しいモデルである。ここに挙げた二つのグループの中間的位置付けにあるヘッドホンであり、そういう見方をすれば今回聞けたものの中では、一番ユニークな製品かもしれない。また、こういうオーディオのインフレ時代にあっては価格もこなれているので、これもお薦めである。

今回の祭りは平面駆動型の活躍が目立っていた。ヘッドホンについては、静電型・平面駆動型とダイナミック型という区別が従来からあるが、今回の祭りを見ていると、これは意味を失いつつあるジャンル分けだろうと思ったりする。Dharma D1000はそれらのハイブリッドであるということもあるし、LCD-4は平面駆動型ながらダイナミック型に近い音を出せる。STAXのSR009が静電型・平面駆動型のサウンドの典型を決めたところがあり、このサウンドの延長上にHE1000があるのだが、すでに様々なヘッドホンサウンドの方向性は様々に分岐したり融合したりする傾向にある。発音方式で囲い込まず、まず出音を確かめる必要がある。

とにかく現代はヘッドホンの選択肢が、史上最も豊富な時代である。どういうポリシーをもって選んでも、一昔前とは隔絶した満足感が得られる。もちろん、それは後述するヘッドホンアンプに十分な投資をして初めて得られるものだ。
私のヘッドホン選びの視点は特別なことは何もない。まずは音質、その次に外観や装着感、そして製品全体としての信頼感である。それからヘッドホンアンプとのマッチングも重要な要素である。さらに他人がもっていないヘッドホンを使う喜びも無視できない。もっと言えば単純に高価で高性能なのではなく、速くて強い時代の潮流に押し流されないロングセラー・定番としての存在感も忘れたくない。
これら全部のファクターを総合して考えた結果、HD650・600 Golden Era DMaaに今の所は落ち着いているのだが、もう一つ敢えて買うなら、HD800sになるのかもしれない。またHP-V8を買ったらTH900 Mk2は必須だろう。それからTHA2がもし手元に来たらHE1000を合わせたいという気分もある。LCD-4は重さで却下か。いやいや、まだなにも決めていないが、色々と算段はしている。

Headphone AMP
次にこれらのヘッドホンと対を成すであろうヘッドホンアンプについても述べたい。このクラスのヘッドホンは全て適切なアンプ、多くは据え置き型のアンプで鳴らされる必要がある。十分なドライブ力がないとその音質は開花しないし、そもそもイヤホンに比べて大きくて重いので視覚的な釣り合いが取れない。この二日間で多くのヘッドホンアンプを聞いたが、OJI Special BDI-DC24A-R Extream、Re Leaf E1、GOLDMUND THA2、Fostex HP-V8、マス工房Model394あたりが今のところ最強の製品群と思う。
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なお、これらに匹敵するものは少ないだろうが、他にもRSAのDark star(個性的だが素晴らしい)、Questyle CMA800R(これも実はかなりいい)、G ride audio GEM-1(まだ入手が不可能になったわけではない)、Cavalli Liquid Goldは気になるし、Cembalo audio Spring1、 Viva audio Egoista、Crayon audio CHA-1、Bryston BHA-1など未聴のヘッドホンアンプはいくつもあるから、まだランキングを確定することはできない。これらを全て一度に聞いてみたいのは山々だが、問題が多い。例えばPSE法は高い壁である。
次に、音質以外の点も評価すべきだろう。例えばOJI BDI-DC24A-R Extream、Fostex HP-V8、マス工房Model394などは、別途DACなどの送り出しが必要となる。ということは新たなコンセント、高性能なインターコネクトケーブル、DACの置き場所も必要になるということである。それは大きな負担だし、音質を劣化させる要因を増やすことになる。
これに関連して、私が最近思うのはDACとヘッドホンアンプの間の伝送での音質の劣化はとても大きいということである。良質なDACとHPAをミリ単位の距離で結線すると新しい世界が見える。これはRe Leaf E1で教えられ、THA2でも確定した事実である。DACを内蔵した方が音質上は有利だし、そもそもコンパクトである。会場にRe Leaf E1を自前で持ち込んだ方が私以外にも居て驚いたが、OJIやFostexではそれは難しい。
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既述した最強アンプ群の奏でる音の中で今回私が最も感銘を受けたのはTHA2のサウンドであった。しかもそれはUSB入力のハイレゾデータでなく、CDトランスポートからの同軸入力、16bit, 44.1KHzのデジタル信号によるサウンドだった。Re Leaf E1にはこの入力がないため、試せていなかった。このデジタル入力の44.1KHzのデータによるサウンドは強烈な実体感と、ヘッドホンオーディオにおいては類例のないほど広大な空間性を兼ね備えるところが素晴らしい。ムンドらしさを排したフラットでクセのない、一聴してごく普通の音。だがなんという深遠な音だろうか。Re Leaf E1xを試聴して以来、久しぶりに新たなヘッドホンサウンドの深まりを感じた時間であった。これなら、そろそろ退屈になってきたスピーカーサウンドはしばらく休んでもいいだろうとさえ思った。欠点は硬すぎるボリュウムの感触ぐらいだろう。手持ちのアンプとの比較を言えば、Re Leaf E1xは音場が向こう側に深く展開するが、BINモードのTHA2は左右にかなり広く展開する。ムンドのアンプは音楽性が高いのに無味無臭で平明なサンドであり、頭内定位も極少である。非常にリアルな音像描写でやや乾いた触感。音像の精密さが際立つ。それにしてもムンドのソニック シグネチュアが全くフラッシュバックしないのは意外であった。ゴールドムンドのサウンドも変化しているのだ。
音場の深さや透明感、音像の持つ繊細な情緒、音と音との有機的なつながりはRe Leaf E1xが勝るが、音場の壮大な広がりと音の力強さ・余裕はTHA2である。
これらは甲乙つけがたく並び立つ、2つのトップ・オブ・ザ・トップのヘッドホン サウンドということになる。
THA2は標準ジャックしか出力がなく、バランス接続が試せないのは気になるが、HD800で聞くかぎり、あえてバランス接続にする必要は感じなかったのが進化だ。先代はそれが気になったモデルだった。HE1000やLCD-4が、このアンプによるドライブでどんな音を出すのか、とても興味がある。
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またHP-V8は上記の2製品と全く違った方向を志向していた。入ってくる音楽信号に忠実であらんとするだけでなく、より美しくして聞かせるアンプなのだ。音の滑らかさ、華やかさ、芳醇さに酔う。特にクラシックはロマンティックな響きがある。視覚的にはレンブラントの絵に出て来る黄金の兜やアクセサリーの描写を思う。闇の中に煌めく金色の輝きが音楽の中に見えるようだ。また録音現場の暗騒音やマスターテープのヒスノイズがよく聞こえるほどSNが良い。音のキレもよく、低域の伸び、解像度も高い。チャンネルセパレーションも製品版では改善され、広い音場が得られる。音楽の意味や演奏者の感興が、神経を決して逆撫でしない形でしっかりと伝わる。どんな音楽をかけても音が曲想に馴染んで、唐突さがない。これは真空管が醸し出す美酒のようなサウンドである。唯一無二。
ただHP-V8はその特異なサウンドから、純正であるTH900以外にマッチングが良い製品があるのかどうかが危ぶまれる。上手くいくか分からないが、Sonorous XやLCD-4を合わせたらどんなサウンドになるか、試してみたい気分はあるが・・・・・。

こうして、これらのマイナーで高価だが実力が極めて高い3つの新製品を前にすると、OJIやマス工房の製品はやはり一世代前の造作、サウンドに感じられる節はある。
HPAの出音についてはDACとHPAの間の情報の欠落に、かなり敏感なものと述べた。そこでの情報のロスが最小なうえ、コンパクトなTHA2やE1が発売されている状況で、アンプ選びはどうあるべきか?至極真っ当なアンプだが、DACに悩まなくてはならないこと、またHP-V8の斬新なサウンドに比べて、既に親しんでいる音であることなどを考えると、OJIやマス工房を私は敢えて選ばないかもしれない。
つまりDACつきのHPAはいろいろと有利な点が多いし、また真空管で奏でられる唯一無二のサウンドにも強く惹かれるということだ。
マス工房、OJIだけでなく、Dark StarあるいはLiquid Goldなんかを触って聴いても思うのだが、これらはやはり筐体デザイン・音質向上のための回路や電源のコンセプト全体がマンネリズムに陥っているところがある。やっていることの基本は、ずっと前からある手口、すなわちスピーカー用のハイエンドアンプに用いられた手法とほぼ同じであり、新味がない。近年、スピーカー用のアンプとしてはDevialetやLINNのトータルシステムが現れ、好き嫌いは別として、そのユニークなカタチとアイデアで存在感を出している。では、ヘッドホンアンプはどうか?
私がRe LeafやGoldmundの製品に着目するのは高価だからではないし、そのサウンドやハイエンド魂に動かされるからだけでもない。製品のコンセプト自体に新しい・エキゾティツクなチャレンジを感じるからなのである。
またReLeafやTHA2、HP-V8などのヘッドホン専用の高額機材を聞いた後では、NAGRA HD DACやCHORD DAVEのような、DACの能力はかなり優れていてもヘッドホンアンプ部が比較的弱いタイプの製品には、私個人は食指が動かなくなってしまった。やはりHD DACやDAVEはスピーカーで使うことも視野に入れて購入計画を練るのが基本だろうと考え方を修正する。


Postscript
最後に今回の祭りを回って気になった幾つかのポイントについてランダムにCommentする。
・NewOPTがポータブルDAPのUSB端子に挿して使う外部電源を参考出品していた。相変わらず美しい青パネルの綺麗な筐体を持つ電源で、つなぐと音が繊細かつダイナミックに変化する。AK240やAK380などに繋いで使うことを想定しているようだ。

・KORGが開発した世界初のデジタルフォノイコライザーDS-DAC-10R。主にDSD録音機能を謳っていたが、リアルタイムでプチプチノイズを消すなどの機能がついたら凄いことになりそうだ。デジタルフォノイコはありそうでなかった製品。アナログオーディオの世界の風景を大きく変える可能性を秘めたモノである。ただし、リアルタイム再生の出音などはどうもデジタルチックで即物的な感じがした。電源などまだまだ検討すべきことはあるだろう。だが、とりあえずこれを製品化したことの意義は大きい。正直、Hugoの後出しジャンケンのようなMojoなんかよりもインパクトが大きかった。(Hugo出す前にMojo出してくださいね。)

・会場に来るべきだったのに来ていなかった機材がいくつかある。Fostex HP-V8、Audio technica AT-HA5050H、IODATA Fidataあたりがそうである。Fostex HP-V8は二子玉川でヒマをしていたので、その隙を衝いて一時間ほど占有させていただいた。IODATA Fidataは音展で詳しく聞いた。SSDモデルはN1Zとほぼ同等の音質を誇り、それでいてかなり安い。明らかにお買い得である。これをヘッドホンシステムの送り出しとして使うのはアリだったと思うので残念だった。そして今回はヴァル・ヴァロのような役回りになってしまったAudio technica AT-HA5050H。E1やTHA2と轡(くつわ)を並べることは叶わなかった。ケリィ、遅れをとったな、というわけだが、冗談はともかく一体こいつはなぜ来なかったのか?海外のショウでは出ていたのに。テクニカのブースは目立った新製品がなかったこともあり、なぜあえてアレを出さないのかが実に不可解。 しかし、私はいつまでも待つぞ!とでも呟いておこう。

・多くのブースが、入場してきた試聴者がポータブルのデジタルオーディオプレイヤーを持って来ていることを半ば前提としたデモをしていた。そういうモノを持ち歩かないことをポリシーとしている少数派?の私はおおいに困惑させられた。わざわざ半年に一回の機会に出て来るのだから、送り出し、アンプ、イヤホン・ヘッドホンに適切な製品を選び、一通り完成したシステムセッテイングで出していただきたい。イヤホン・ヘッドホンとはいえ最適なトータルシステムで提案して欲しいのだ。いくつかのブースでは二日間、そのような試聴環境が十分に整わないままであった。
また自分が一体どれくらい贅沢な嗜好品を売ろうとしているのかを、買う側の立場に立って考えるべきだと思ったケースもある。例えばある高価で重いヘッドホンを紹介するブースではポータブルの小さなDAPでしかデモがなかった。これほどのヘッドホンを買う人は、まずそれなりに高級な据え置きのヘッドホンアンプを使うことだろう。こんな小さなDAPでも鳴らせるというデモはあってよいが、なぜ強力な駆動力のある据え置きアンプも用意しないのか?この高価なヘッドホンの本気モードがどれほどなのか、誰もが知りたかったにちがいないのに。これに似た不可解、いや無理解は、いくつかのブースで見られた。
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・開放型のヘッドホンは周囲の雑音に影響されやすいので、できれば椅子の両側に投票所で見られるような衝立が欲しい。まわりでやっている立ち話が聞こえにくくなっていい。その衝立が透明なら、会場の見通しも妨げないだろう。私は騒音の少ない二日目の夕方にも精力的に回って出音を確かめた。この時間帯は待たないし、穴場だ。機材のヒートアップやエージングが進んでいることもある。だがそんなことせずとも少しばかり工夫すれば、一日目の午前から、いい音で聞けたはずだ。また衝立があると次に順番を待っているのが誰なのか、傍から見て分かりやすいこともある。衝立に囲まれた空間のすぐ後ろに列ができるようになるだろうから。ヘッドホンが複数あると誰がどれを聞こうとしてブースの前にいるのかわかりにくくなる。

無意味な苦言はともかく、なにはともあれ、本当にヘッドホン・イヤホンオーディオのBig Waveが来ているのだから、このイベントをやり遂げるしかなかった。こうして祭りが終わって、真夜中の夜風にあたっていると、ヘッドフォニアとして思うところがある。今回のイベントは私的オーディオの大きな転換点となるだろう。とりあえず、自分の経験で養った直感を信じて、新しい方向へ万策堂は踏み出すつもりだ。耐え難くも甘い、新たな時代の始まりである。

by pansakuu | 2015-11-01 12:52 | オーディオ機器