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AIM SHIELDIO UA3 USBケーブルの私的レビュー: 下剋上、そして賢者の選択

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電線にスズメとまって音変わり
詠み人知らず


Introduction

そもそも、USBケーブルを変えるだけで、デジタルサウンドを良くすることは出来るのか?
これは初めてPCオーディオシステムを構築しようというときに、パソコンとDACを結ぶUSBケーブルを選択するという段階になれば必ず出て来る疑問でしょう。

それは出来ない、そう考えているオーディオファイルは相当数居るようです。少なくとも私の感じでは日本のオーディオファイルの半分以上がこれについては半信半疑なのではないかと思います。もっとも、これは初めからUSBケーブルを使う必要がないので関心がないとか、あるいはそういうところに凝って、お金を使いたくないという意図から、高級なUSBケーブルを否定し都市伝説化する動きになっている部分もありましょう。自ら多くのUSBケーブルを試したうえで、否定している人はとても少ないのではないでしょうか。確かに、それは無駄が多く報われない作業であるということを私は知っています。

では、そう言う私はオーディオ向けのUSBケーブルをどう考えているのか。
それは、音は確かに変わるが良い方向に大きく変わることはほとんどない、最近まではそういう認識なんですね。つまり、USBケーブルを高級なものに変えると、まあ多少はレンジが拡張したような印象があったり、解像感が高まったような気がしたりという、ライトな感動はあるものです。でも、市販の一番安い普通のUSBケーブルと比べて劇的な変化ではないし、音が軽くなったり、音のエッジがキツくて聞きづらくなってしまったり、逆に元気がなく平明な感じに変わってしまったりと、副作用もありうる。長さや取り回しの自由度も場合によっては低くなる。さらに、オーディオ用のUSBケーブルは比較的高価なものも少なくない。オーディオ用でない製品の価格と比べればコストパフォーマンスはとても悪いものだと白い目で見ていました。

とはいえ、私は折角入手したRe leaf E1xのセッティングを詰めたい。
そしてE1xはUSB入力で威力を発揮するヘッドホンアンプです。
とすれば、この機材に適したUSBケーブルが必要です。
私はそう考える手前、ここ一月ほど多くのUSBケーブルを買ったり借りたりしているわけです。

実は過去にもこれに似た試行をしたことはありました。その時は、今はメーカー自体がなくなってしまったLocus designのCynosure(実売40万円前後)なんかまでテストしたりして、随分と熱心でした。しかし最終的な結果は既述したような残念なものでして、高いUSBケーブルにはあまり深い意味はないという結論に達して終わってしまいました。それ以降、EsotericとAcoustic ReviveのUSBケーブルを手元に残して、必要があれば出してきて使うのみ。それは音を良くするためというより、少なくとも悪くはしていないという確信があり、確実なコネクションができるケーブルを使いたかっただけです。はっきり言えば、最近まで私はオーディオ用のUSBケーブルというものを見捨てていたわけです。

ところが、今回新たにテスト用に買った何本かのUSBケーブルの中に目覚ましい製品が混ざっていました。
それらのUSBケーブルは、今まで自分の試した60種類以上の様々なジャンルのケーブルたちの中でも、良い方向への音の変化を最も如実に感じたグループに入ります。しかも驚くべきことに、そのグループのどのケーブルよりもはるかに安かったのです。10分の1から50分の1くらいの値段しかしない。しかもUSBケーブルという、電源ケーブルなどに比べれば、ずっと音の変化を感じにくいと考えてきた種類のケーブルなのに、そこからとても良いケーブルが出てきたのです。私はこのコストパフォーマンスと意外性に素直に驚嘆したのです。(写真等は各社HP等から借用させていただきました)


Exterior and feeling

さて今回、総合的に最も音の優れたUSBケーブルと私が認定した、このAIMのSHIELDIO UA3-R010を手に取ってみましょうか。
全くなんてことはない普通のUSBケーブルですね。
まず1mという凡庸な長さ。まあUSBケーブルなんてものは1m以上は伸ばさない方がいい。あらゆるケーブルの中で長さによる音質劣化は最も甚だしいものですから。
そういえば以前、長さ3cmのUSBケーブルというのを試しましたね。これはストレートに音が良かった。ただ事実上、短すぎて機材が極度に繋ぎにくく、使い物にはならなかったのですが。
そして、このUA3、パッと見て、変わったところがあるとすればAコネクターとBコネクターの上に金色のバッジのようなものが付いているところでしょうか。これはフラッグシップケーブルであることを外見上で分からせるための装飾らしく、音質的には意味はなさそう。コネクター自体はなにか特別な設計をしているようにも見えません。端子は金メッキされていますが、これも珍しくはない。PCやDACの端子への挿入感はやや硬く、しっかりとかみ合って緩みはありません。線体は細く黒い艶のないゴムのような感触のもので、やや硬くてハリがあるが取り回しに不自由はない。断面は円形ではなく、角の丸い長方形に近い形であり、外から見て2本の電線が通っているような気配です。
とにかく外見は至極に普通です。

ではメーカー発表の資料を眺めてみましょう。
まず、このケーブルの断面から想像していた導体配置は、フラット構造とメーカーが呼んでいるもので、信号ラインと電源ラインを分けたうえで、それらの位置関係がケーブルを曲げても変化しないようにしていると書いてあります。そう言われると大したことのようにも思いますが、こういう設計はアコリバの製品に代表される、高級オーディオ用USBケーブルでは常識なので、詳しく調べているオーディオファイルにとっては、ウリにはなりにくいでしょうね。
では導体はというと、信号ラインに高純度銀を単線で用いていると書いてある。銀線使用という話は時々耳にしますが、単線となると他の製品での採用例はあまり聞きませんな。導電性が金、銅よりも優れた銀は、高級なオーディオケーブルの素材としては定番ですが、USBケーブルでの使用は多くはない。単線となるとさらに少ない。しかも採用された場合、製品の売価はとても高くなりがち。だがUA3は銀線ケーブルにしては十分に安価であると思われます。
また、ケーブルのシースはパルシャットという新素材、ケーブルシールドはアルミ箔と銅の編組を合わせているとか。パルシャットですか。一般にオーディオ用ケーブルでは導体を巻く絶縁・シールド素材に工夫を凝らしますが、USBケーブルも同じです。パルシャットは旭化成が開発した新素材で、薄型・軽量ながらも広帯域で高いノイズ抑制効果があるというもの。非磁性、高絶縁で柔軟性も高いとのこと。
コネクターも、外見は大したことはないのですが、実は全方位からのノイズの飛び込みを防ぐシールド構造になっているらしい。どこが?っていうくらい普通のシンプルなコネクターなんですけどね。多くのUSBケーブルが市販されているが、そこらへんをウリにしているものは実はほとんどない。特別なコネクターを自製するのは、大きなコストがかかるものだからでしょう。


The sound 

いきなり、大きな情報量のアップです。
これには、いささか衝撃を受けました。
新品をつないで聞き始めてから30分くらいでみるみる音が良くなってくる。
気付かぬうちに曇っていた目がクリアになり、
明るい視野が大きく拡大してゆくような感覚が生まれてきます。
このあからさま覚醒感は鮮烈な印象を私に残しました。
この音をヘッドホンで聞いていて、一人で大笑いしてしまったほどです。
今までのUSBケーブルの音は一体なんだったんだ、一体。
これなら誰が聞いても違いは分かるだろう。
一人で大笑いしながら、独り言を呟いている私を見て、家族は怪訝な顔をしていました。
そういえば人は不意打ちを食った時、笑うという話を聞いたことがあります。
この音はまさに高価格に胡坐をかいているハイエンドケーブルどもを刺し殺す、
不意の奇襲のようでもありました。

SHIELDIO UA3はオーディオケーブルの下剋上か。

そんな妙なコメントを彦麻呂さんのようにshoutしたくなったほど、
ケーブルというものに対して、久しぶりに、
そして極めて安易に心奪われてしまったのです。

とはいえ一時の感情にまかせてインプレを書くのもアレですからね。
数日、鳴らしっぱなしにして音も気分も落ち着いてきたところで、改めての音質について書いてみましょう。

まず、全帯域にわたり、このクラスのケーブルでは例のないほどの音響情報で溢れ返っています。その意味でこのケーブルのサウンドは大変に豊かなものです。音像の解像度の高さのみならず、その空間に漂う空気の温度感、透明度の描写もかなりきめ細かい。また、音がほぐれているというのか、ボーカルや楽器どうしの距離感や位置関係が浮かび上がってくるような感覚もあります。このケーブルを通すと、音楽は大変に生々しく、臨場感たっぷりに聞こえるようになります。
例えばボーカルの歌い出しの瞬間、その僅か前に吸い込まれる息。その息を吸う口唇の形が一瞬見えます。他のケーブルでこれが見えるような気がしたのはGe3銀蛇Au USBだけです。
また、音楽の終わりのところの最後の一滴というか、音量を絞って絞って最後の音がどのように消えるのか、その様が実に詳しく浮彫りにされます。
こういう音楽の周辺にある微かな情報は、音楽の本質とは関わりはないのですが、それがさりげなくも確かに聞こえてくるという事実は、オーディオをやる上では大きな喜びとなりえます。こういう音楽の中に潜むディテールの描写の充実こそUA3の真骨頂ではないでしょうか。

それから、このケーブル独自の音の色づけはほぼ皆無でしょう。銀線を使っているので、いわゆる銀らしい、柔らかでありかつシャープでもある独特の音触を想像される方もおられるかもしれませんが、そういうクセのような感触はほとんどないといって良いでしょう。ライバルのひとつであるGe3の銀蛇の音にあるようなシルバーの微かなクセも感じない。とてもニュートラルで、中立性の高い音調です。各帯域のエネルギーバランスもほぼ完璧に揃っていて、大変にフラットな印象です。音楽の抑揚を演出するような傾向もなく、音楽性の強いDH Labのケーブルとはまるで異なる音調です。

またSHIELDIO UA3に変えると、ダイナミックレンジが明らかに拡張し、システムが対応できる音楽表現の幅が大きく広がります。室内楽を聞くのに向いていたシステムが、オーケストラの音の大きさ、スケール感に対応できるようになるような感じでしょうか。
さらにトランジェント、すなわち立ち上がり・立下りのスピード感はよりナチュラルなものに改善され、聞き易さも増してきます。こうなれば当然の如く様々な楽器の音色の鳴らし分けも、他のケーブルを引き離し優秀なものとなってきます。録音された時代、マイクの立て方なんかも分かりやすいと言うより、正確に把握できるようになるのです。
大きい音と小さい音の落差のコントラストは強くなり、滑らかに音の大きさが変わる時でも階調・濃淡は実に細かくなります。

SHIELDIO UA3の良さのひとつとして直接音の全てが明瞭になり、しっかり・クッキリとした音の輪郭が現れてくる点も聞きモノでしょう。音の実在感はとても高くなってきます。
一方、倍音成分の質感は正確であり、その透明に近い存在感は直接音を邪魔しない程度に抑えられています。倍音の滞空時間が他のケーブルよりも長く聞こえるのも面白い。全体に弱くなってゆく音の描写に長ける印象です。
また音場全体に見通しがよくなり、サウンドステージとして見渡せる範囲も広がったような印象です。

簡単に言えば、他のケーブルに比べて、より多くの音がより正確に聞こえるようになる製品です。市販の価格を考え、また効果に伴う副作用がほとんど無いことも勘案するとこのケーブルのパフォーマンスは賞賛に値します。そして、この色付けの少なさは嗜好する音楽ジャンルを選ばず、下流の機材の種類を選びません。

では試みに、ここで以前やったテストを含め、今まで聞いてきた中で、これは悪くないなとか、あるいはUA3並みに良いなと思ったUSBケーブルをざっと挙げて比較してみましょう。もちろん同時にテストできていないケーブルもありますから、過去に取ったメモを参照しつつ、ということになりますが。
Wire world Platinum Starlight USB
Locus design Cynosure
Audio quest USB Diamond
Acoustic revive USB1.0SPSおよびPLS
Crystal cable Crystal USB Diamond
Chord Sarum tuned aray USB
Ge3銀蛇Au USB
Esoteric 8N Reference USB
DH Labs Mirage USB
Orpheus Khole USB2.0
こんなところでしょうか。

まず、これら11本の中で際立って個性派なのはGe3銀蛇Au USBとLocus design Cynosureです。
Ge3銀蛇Au は、まずは音がほぐれる。ほぐれまくる。そして異様なほど楽器どうしの分離が良く、音場は広い。また刺激感がなく、聞き疲れ皆無のソフトでクリーミーなサウンドでもあります。そこは銀ケーブルの良さが出ているのかも。さらにダイナミックな音楽性が添えられて耳を楽しませてもくれます。また、このケーブルが伝えるトータルの情報量はかなり大きく、UA3を上回る時すらあります。そこまで言うと、いいことづくめのようにも思われますが、音がほぐれ過ぎ、各パートの分離が良すぎて、他のUSBケーブルで聞いた場合と全く違う録音のように聞こえる場合があるのが悩みです。広い意味でこれはクセとも取れる振る舞いでしょう。曲を録音したり、マスタリングしたエンジニアはこういう出音を想定していないのではないかと心配するほど、サウンド全体が他に比べて変わってしまうことさえあります。はっきり言えば、オーディオ的にやり過ぎ感のあるケーブルです。わざとこういう音作りにしないと、こうはならないでしょう。確かに、これが気に入ればこれしかないのですが・・・・・。とにかく秀逸だが唯一無二の個性的な音のするケーブルとして、手元に残しておきたいところですね。
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他方、Cynosureについては USBケーブルとは思えないほど太いのに、妙に軽いケーブルで、なにか際立った音質的特徴を予感させるアイテムです。こちらもほぐれた音で分離がよく、スピードも極めて速く、音場は広々してエアーをタップリ含んだ独特のもの。USBケーブルとして超高価だが一度聞いておく価値はありましょう。(もう入手困難ですけど)こういう音のするUSBケーブルも他にない。ただ音質の方向性がはっきりありすぎるので、飽きるのも早そうです。そしてやはり価格が高すぎるかな。UA3はこれらのケーブルほど突出した個性はありませんが、性能では肩を並べるでしょう。
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使い勝手という面で、一番使いづらいと思ったのは勿論Acoustic revive USB1.0SPS。これらのケーブルたち中でも音質ではそれなりに上位に食い込むものの、USB端子を2つ占有するのはつらい。他の機材がPCに接続できなくなるし、USB端子が片側に1つしかないパソコンに対しては、なにか工夫をしなくては結線ができなくなってしまいます。こんな難儀なケーブルを万策堂は2度と使わないでしょう。USBケーブルの音質にそれほど拘らないならPLSで十分。
もちろん音質上でもSPS よりUA3の方が一枚以上も上手ですが、使い勝手にこれだけ差があると、それ以前に比較にならない。
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他方、意外ではありますが、これだけ評価の高いケーブルメーカーのトップエンドUSBばかりを集めても、見かけと値段のわりに案外普通の音だなと思うものは多いのです。この案外と普通なグループにはAudio quest USB Diamond、Crystal cable Crystal USB Diamond、Wire world Platinum Starlight USB、Chord Sarum tuned aray USBなど10万以上の価格帯のケーブルが入ります。これらはそれぞれ出音は違いますが、音質の各項目をよく比較検討すれば、総合的に大きな差はなく、音質は安定して優秀とはいえ、抜きん出た好ましい個性がない。他社の普及クラスの製品と比べて相対的に高価なわりに、インターコネクトや電源ケーブルなどの分野で特別に高価なスーパーハイエンド製品(NordostのORDIN等)の持つ凄味のようなものもない。正直、総合的にはAcoustic revive USB1.0PLSとほぼ同等のレベルの音質であり、価格を考えるとアコリバでいいのではないかと思えます。結局、こういうケーブルは凝り過ぎてつまらない音になってしまったパターンではないでしょうか。私はこれらのケーブルの音にUA3を上回る特徴は見出せませんでした。
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一方、Esoteric 8N Reference USBとなると、そこそこ豊かな情報量、鮮やかな色彩感、低域の量感とソリッドネスが出てきて、さすがはエソのハイエンドケーブルという気分になります。これもなかなかいいケーブルですが、音の輪郭がキツくて聞いていてやや疲れるうえ、音がどうもほぐれない。さらにケーブルがちょっと硬くて、シナリが強く、やや取り回しが悪い。そこらへんは好きになれません。UA3はこのケーブルの持つ長所は全て持ったうえで、さらに解像度の高さ、情報量が多く、音は適度にほぐれて、キツさがなく、取り回しもしやすいものです。
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そして、DH Labs Mirage USBでありますが、これは一部で評価が高いだけあり、流石の音質と聞けました。フラットでほぼクセはないが、ソースに入っている情報を過不足なく聞かせる。さらに特筆すべきは音の流れの良さ、ソノリティの良さ。どのジャンルの音楽でもとても聞き易く自然であり、長時間のリスニングでも疲労が少ない。音楽的なケーブルでもあり、音楽の抑揚や躍動をかなり巧く表現します。これは非常に手の込んだ音作りのされたケーブルであり素晴らしいものです。UA3にはこのケーブルの持つ音楽性はまでは備わっていない。ただ、Mirageは森を見て木を見ないようなところがあり、音のディテールの表現に弱さを感じます。これはAIM UA3 USBの音質の特徴と比較するとはっきりする弱点です。ヘッドホンでの使用が前提の私の場合は解像度が優先するUA3の音の方がしっくりくる。しかし、スピーカーで聞くなら、むしろこちらのほうがいいかもしれないな。ゆったりと高尚な音楽に身を任せるというような聞き方までリスナーを連れて行ってくれるからです。
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最後にスイスのOrpheusから出ているKhole USB2.0ケーブルについて述べておきましょう。このケーブルは線体が細くて大変しなやかなうえ、端子はオリジナルのアルミの削り出しでなかなか美しいもの。全体の色調や質感が私のE1とマッチングがよく、外観だけで好感が持てます。いささか高価ですが、その価格に見合って音の方はさらに好感度が高い。Ge3の銀蛇とAIMのUA3を足して2で割ったような音と言えばいいのか、その二本のいいとこ取りをしたような音です。Ge3の銀蛇のように、ゆったりとほぐれて、広々と音が拡がりながらも、AIMのUA3のような精密でカチッとした音像が屹立しており、音間の静寂が深い。音全体にかなり高度な再現力が備わっていて感心させられます。だが、Kholeはこれら三本(今回のテストでのトップ3、UA3,銀蛇,Khole)の中では一番価格が高い。UA3の安さを考えると総合的にはKholeが一押しではないです。だが予算が取れれば、これが一番いい。テストした中ではこれが一番に音が良いかもしれない。ただしやや高価だということでベストバイには押しにくい。

Summary

ケーブルで音質をいい方向へと変えていこうという情熱と、そんな厚化粧にカネをかけるくらいなら、新しいアンプを買うとか、いい音のソフトを買うとか、やることが他にあるだろうという冷静のあいだで、私はずっと揺れ動いてきました。

そして、今やっている試行錯誤、つまり、なかばデジタルシステムであるE1xのセッティングの過程では、ケーブルの選択を詰める必要が出て来ます。それというのも、アナログを堪能した後では、デジタルには、なにか圧倒的に足りない部分があるように聞こえ、そこをなんらかの形で補う必要が生じるからです。ですが実際に検討を始めると、昨今のスーパーハイエンドケーブルの価格は絶望的に高いところにある場合もしばしば。しかも次々に出てきて、とどまるところを知らないようです。
これらのうち、目ぼしいものだけを買って吟味するだけでも、金銭的にだけでなく、時間的にも人生を使い果たしてしまうのではないかと私は恐れます。ケーブル肯定にも限界があるでしょう。
だから、私はケーブルに関してはそこそこに凝る。
自分で設けた節度の中でケーブルの限界を探るわけです。

とはいえ、金銭的、時間的に制限された私のUSBケーブル探索も無駄ではなかった。
なにせUA3は今まで聞いた全てのケーブルの中でベストな対費用効果がありましたから。
価格を含めて考えた時、これほど総合的に優れたケーブルを私はほぼ聴いたことがありません。

ところで、私の知る限り、ケーブル否定派には、十分にいろいろなケーブルを試したことがないから、そういう否定を決め込んで安心している方が多い。そして、その背景には、誰にでも分かるほど音が良い方向に変わるケーブルというものの多くが、普通のオーディオファイルにしてみれば目を背けたくなるほど高価であるということがある。オーディオにコストがかかり過ぎて破産してしまうという恐怖を催すほどハイプライスだが、信じがたいほど音に効くケーブルが確かにあります。

一方、あまり言いたくないことですが、近頃、いくら高く開発費や原価を見積もっても、ありえないプライスタグのついたケーブルも目につく。それらのいくつかは音質としても価格に見合うとは思えないものだと聞きますし、実際につまらない音しかしない欠陥ケーブルが皆無でないことを私自身、細々と確認しています。それでもなお、まるでオーディオファイルの競争心を煽るようにゼロの数を増やしていくメーカーが後を絶たない。この種のケーブルは本数が出ないので、なおさら高くなってゆく悪循環なのでしょうが、こんなケーブル狂騒曲のような状況を見るにつけても、ケーブル否定派が増えるのは仕方ないと思う次第です。

やはり、これらスーパーハイエンドケーブルに匹敵する、あるいはそれ以上に充実した音質ながら、安価なケーブル、すなわち下剋上のケーブルを増やすべきでしょう。
そうでないとケーブルによって音が良くなるという事実から目を背ける人が増えてしまう。
こういう少数の富豪だけを相手にするハイエンドオーディオは、価格の高騰をもたらす悪循環により市場を緩やかに縮小させ、いつのまにかオーディオの未来を奪い去ってしまうかもしれない。

オーディオケーブルについて深く知れば知るほど、ケーブルで音質をいい方向へと変えていこうという情熱と、そんな化粧にそんな大金をかけるくらいなら、新しいスピーカーを買うとか、音の勉強のためにライブに通うとか、やることが他にいくらでもあるだろうという冷静、そのどちらの立場も深く理解できるようになります。でもたとえ、その両方をやる財力があったとしても、身はひとつですから、結局それらを完全に両立させるだけの十分な時間を割くことは難しい。その逆のシュチュエーション、時間はあるがカネはないというのもありでしょうけど。

その状況を分かったうえで言えることは、オーディオファイルは冷静になるのでも情熱的になるのでもなく、ここは賢くならなければいけないということです。オーディオの賢者なら、どちらかを巧みに省略できるはず。そういう賢い手段のひとつが、巧みなケーブル選びだったりするのではないでしょうか。オーディオはなにも財力と情熱だけで成り立つのではない。星の数ほどあるオーディオ機材の中に隠れている下剋上を、最小の手間で選び出すという賢い選択こそ、今という時代を生き抜くオーディオファイルが進むべき道だろうと私は思うのです。

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by pansakuu | 2015-06-19 23:41 | オーディオ機器